いわゆる正社員と同様に無期労働契約でありながら、職種や勤務地、労働時間等が限定的な「多様な形態による正社員」に関する研究を行ってきた厚生労働省の研究会(座長・佐藤博樹東大社会科学研究所教授)が29日までに報告書をとりまとめた。
報告書は「非正社員にとって正社員転換の機会を拡大する可能性があるほか、正社員にとってもワーク・ライフ・バランス実現の一つの手段となりうる」として、労使双方が実態を踏まえ、こうした形態の正社員が「1人ひとりの労働者が満足できる働き方として活用されるよう環境整備を進めていくことが求められる」としている。
その中で、留意事項として(1)多様な形態による正社員の制度活用にあたっては、非正社員から正社員へのステップアップのために活用すること、(2)相互に転換しやすい柔軟な仕組みにすること(正社員区分間の転換)、(3)男女を問わず、個々のニーズに合った働き方を選択できる仕組みになるよう工夫すること、(4)労使の協議を踏まえ、転居や転勤の範囲に応じた賃金制度・水準とすること、(5)事業所閉鎖時に、いわゆる正社員に関する取り組みと均衡が図られるよう最大限努力すること、などをあげている。
研究会は昨年3月から9回にわたって会合を開き、今回の議論をとりまとめた。(編集担当:福角忠夫)