【今週の展望】「就任演説待ち」するほど世界はヒマではない

2017年01月15日 20:29

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トランプ新政権の経済政策が示されるのは、20日の就任演説か、1月中の一般教書演説。だがマーケットは、そこまで待てないはず。リスクを意識したまま、活発に動き出す。

 日足一目均衡表の「雲」は、13日は17429~17913円に位置していた。その上限は13日終値19287円から1374円も下にある。今週の雲は、下限は16日の17429円から20日の17696円まで徐々に上昇し、上限も16日の17956円から18000円を超えて20日の18225円まで早いペースで上昇していく。雲の厚さは20日には500円を超える。この先、上限は27日に18500円を突破し、31日には19000円にタッチ。厚さは31日には1148円まで厚くなる。現状のままモタモタしていると雲の中に放り込まれ、動きが制約される。

 ボリンジャーバンドは、13日終値19287円は25日移動平均-1σの18936円と+1σの19529円の間の「ニュートラル・ゾーン」に位置している。-1σは351円下、+1σは242円上で、「座りのいい」25日線は54円下まで接近。-1σと+1σの間にあるのは6日と同じだが、ポジションは下に移動しており、ニュートラル中のニュートラル。上にも下にも等しく動けるようなポジションにある。

 オシレーター系指標は、「買われすぎ」シグナルが1個、「売られすぎ」シグナルが1個、同時に点灯するという面白い現象が起きている。前々週6日の段階では「買われすぎ」シグナルが2個点灯していたが、前週は下落-上昇-下落-上昇と大きく振られて週間騰落167円安で、まるで「やじろべえ」のような〃均衡状態〃が出現した。「買われすぎ」なのは25日騰落レシオで2週連続。123.3で買われすぎ基準の120を上回った。対して「売られすぎ」なのはボリュームレシオで、29.4で売られすぎ基準の30をわずかに下回った。その他の指標は、ストキャスティクス(9日・Fast/%D)は43.4、サイコロジカルラインは4勝8敗で33.3%、25日移動平均乖離率は+0.3%、RSI(相対力指数)は43.6、RCI(順位相関指数)は-25.9だった。

 1月6日時点の需給データは、信用買い残は12月30日時点から123億円増の2兆1061億円で2週ぶりの増加。信用倍率(貸借倍率)は2.36倍から2.27倍へ4週ぶりに減少。信用評価損益率は-8.54から-7.36へ1.18ポイントの2週連続改善。裁定買い残は1712億円減の1兆8900億円で4週ぶりに減少した。1月4~6日の投資主体別株式売買動向は、外国人は2326億円の2週連続の買い越し、個人は2424億円の9週連続の売り越し、信託銀行は461億円の4週連続ぶりの売り越しだった。4日の大発会の大幅高を演出したのは、やはり海外投資家だった。

 前週4日間のカラ売り比率は、10日が38.1%、11日が36.4%、12日が40.1%、13日が39.8%。229円の大幅安で25日移動平均線を割り込んだ12日、昨年12月29日以来、今年になってから初めて40%を超えたが、13日にはわずかではあるが40%を下回った。マーケットのリスクオン/オフを示す日経平均VI(ボラティリティー・インデックス)の1月13日終値は18.01で、1月6日終値の19.96から1.95ポイント下落した。トランプ次期大統領の記者会見後にNYダウや為替レートが乱高下しリスクオフしたように見えた12日でも終値19.93で20を割っていたから、大きな流れは変わらなかったとみていい。

 前週末13日のNYダウ終値は5.27ドル安の小幅続落。S&P500はプラス。NASDAQ終値は史上最高値を更新した。ロンドンFTSE100は14営業日続伸。フランスもドイツも株価は大幅反発。ミシガン大学消費者態度指数速報値は市場予測を下回り、12月の小売売上高は+0.4%で伸びが加速し4ヵ月連続プラス、卸売物価指数は燃料コストの上昇が影響して+0.3%で市場予測と一致、11月の企業在庫は+0.7%で、市場予測と比べて在庫が積み上がった。強弱まちまちで、アメリカの景況は決して快晴ではない。10~12月期決算の発表が本格化し、金融大手のJPモルガン・チェースもウェルズ・ファーゴも好決算を出していたが、原油先物価格が反落して午後のダウの上値は抑えられた。NY時間の為替レートはドル円が114円台半ば、ユーロ円が121円台後半。大阪夜間取引終値は19250円。CME先物清算値は19300円。