栄養ドリンクで日本経済も元気に

2012年03月26日 11:00

 緑茶から炭酸飲料、ゼロ系飲料など、流行の変化が目まぐるしい飲料市場。そういった中、栄養ドリンクが堅調に売り上げを伸ばしているようである。富士経済によると、栄養ドリンクと称される滋養強壮効果を訴求したドリンク類の市場は2010年で1148億円、2011年は前年比106%となる1217億円が見込まれており、2012年も堅調に推移しそうである。

 日本で初めて販売されたドリンク剤が、大塚製薬のリポビタンDである。そのリポビタンシリーズの2011年度第3四半期売上高は566億円。同社の2011年通期予想でも前期比+4億円とするなど、その堅調さが見て取れる。また大塚製薬の販売する「チオビタドリンク」も先の第3四半期決算発表では前期比8.6%増、累計出荷額が300億本を超えたことを大々的に宣伝した「オロナミンC」も2.7%増となるなど、こちらもプラスとなっている。

 瓶入りで少量が主流のあった栄養ドリンクであるが、アサヒ飲料の「ドデカミン」に代表される大容量商品が登場したことで、さらにその市場は拡大している。大容量商品は、栄養ドリンクとしてだけでなく炭酸飲料としての需要が高く、2010年の猛暑や2011年の節電による暑さ対策もあって一定の市場を獲得している。今夏も昨年同様、節電対策が必要となることが予想されるため、各飲料メーカーによる大容量商品の拡大が見られるかもしれない。

 さらに、海外の栄養ドリンクも日本市場に浸透し始めている。その代表商品がレッドブルであろう。創業は1987年であるものの、2008年には世界で40億缶を販売。その売上規模は約30億ドルとも言われている。日経MJによると、リポビタンシリーズやオロナミンCなどは平日の朝に買う人が多いものの、レッドブルは夜や休日に売れているという。疲れた時ではなく、運動や遊びで力を出したい時の飲料と位置づけが功を奏し、2006年に上陸して以降、日本でも一定のブランドを確立したと言えるのではないだろうか。

 近年では、従来の栄養ドリンクにローヤルゼリーなどの栄養補助食品に多くみられる成分が配合された商品も多く登場しており、中高年を中心とした健康志向の顧客も獲得している。ヤクルトが販売する「タフマン」が、40代以上の中高年をターゲットとすべくリニューアルしたことが功を奏し、第3四半期決算で前年比115.1%もの成長を遂げていることからも、今後この世代が栄養ドリンク市場の動向を左右するのかもしない。

 アサヒ飲料がアメリカの「モンスターエナジー」ブランドの国内独占販売権を取得し、5月8日から発売すると発表し、「ドデカミン」の新商品「ドデカミンオリジナル」も発売するなど、今年に入っても各メーカーによる攻勢が続いている。海外商品や大容量商品など若年層に訴求する商品から、中高年以上をターゲットとする商品まで、幅広い商品がラインナップし幅広いニーズに応えている。堅調に推移する栄養ドリンクが、日本経済をも元気にしてくれるのかもしれない。