中国情報提供サービス、どこまで利用が広がるか

2013年02月13日 09:28

 日中関係の冷え込みが大きく報じられ、第一生命<8750>が中国合弁生命保険会社設立に係る中国華電集団公司との基本合意を解消するなど、日本企業の中国離れが広がっている。一方、ヤクルト本社<2267>が中国の天津工場に第2工場棟を建設して生産能力を増強すると発表したり、中央発条<5992>が中国に自動車用懸架ばねの製造会社を設立したりと、依然として進出・拡大する企業も後を絶たない。こうした中、電通パブリックリレーションズとメディア新日中が共同で、中国情報を提供するサービス「CHIMONI(チャイモニ)」を開始すると発表した。

 中国ビジネスを展開する日本企業経営層に向け、現地メディアを通して中国ビジネスのリスクや最新動向を監視し、的確な事業展開をしていく上での指針となる情報を提供するというチャイモニでは、国営通信社である新華社の公式サイト「新華網」が開発したモニタリングシステムを駆使し、新聞、雑誌、ウェブサイトだけでなく、BBSなどのSNSやテレビ番組までモニター。圧倒的な情報量の中から、中国情勢を把握する上で重要な情報をキーワードで集約し「専門サイト」に毎日自動的に掲載する。さらに、それらの情報をもとに、新華網の特約アナリストや中国社会科学院のエコノミスト、中国メディアに精通する専門家の視点で分析を行い、見解をまとめたリスクマネジメント・レポートを週ごとに提供するという。

 近時、中国でビジネスを展開する際は最新の市場動向だけでなく、リスク管理が最重要となっている。こうした中、タイムリーなリスクマネジメント・レポートを手に出来ることは大きなメリットであろう。しかし、モニター対象である中国メディア自体が信用に足るものなのであろうか。さらに、このチャイモニに利用されるモニタリングシステムは中国の国営通信社によるものであり、公平性、信頼性等に不安の残るデータとなるのではないだろうか。確かに需要はあるであろうが、こうしたデータを基にしたサービスの利用がどこまで広がるのか、今後の動向に注目が集まるところであろう。(編集担当:井畑学)