現在90億個の機器がインターネットに接続しており、今後10年間ではこれが1兆個になると見込まれている。世界では毎日2.5エクサバイトものデータが作成されており、これらビッグデータの活用では、グーグルが昨年12月発表した1.8ペタバイトもの衛星データ解析による32年間での地形の変動情報可視化といった、大規模なものが出てきている。こうしたなか、シカゴ大学の研究チームは、地球規模でインターネットへの接続/切断に関するログデータを集計。地域ごとのインターネットの普及や睡眠時間の傾向に関して有益な知見を得たことを発表した。
同研究チームは、機器のインターネット接続を示すIPアドレスの検査ログ及び、各機器のIPアドレスと位置情報を結びつける商業データベースからなるデータセットを構築。2006年から12年での122カ国の15分ごとのインターネット接続状況に関するデータベースを作成した。1兆件にも及ぶデータセットを分析することで、インターネットの普及傾向を調査したところ、世界のどの国においても類似したパターンに従っていることが判明。インターネット接続は普及初期にはゆっくりとしたスピードで、ある時点から急激に拡大し始め最終的には3人家族にひとつのIPアドレスが行き渡り飽和状態になる。最終段階に至るまでの平均は約16年だが、例外的な国も存在する。たとえばトルコ等は普及速度が非常に遅く、普及までに何十年もかかる見込みだ。さらに研究チームは、GDPとインターネット接続との相関関係を見出し、インターネット普及率が高い国ほど経済の成長速度が速いことを明らかにした。成長速度は産業によっても異なり、インターネット普及により浸食を受ける分野(出版、ニュース、教育など)では伸び悩み、ローカルで展開してきた産業(卸売り、小売り、不動産)などは拡大傾向があるとのこと。
さらに同研究チームは、インターネット接続機器のオン/オフから睡眠パターンを分析、世界645都市での睡眠パターンを算出した。同分析により、大都市は衛星都市よりも長い睡眠時間を取る傾向が見いだされた。また、テクノロジーの使用により、睡眠パターンが変化していることが発見され、北米では睡眠時間に変化があまりない一方、ヨーロッパの睡眠時間は短くなり、東アジアの睡眠時間は長くなる傾向が見いだされた。データからインターネット接続により睡眠パターンが一転集中しつつあるとのことが発見されたが、その理由については不明とのこと。今回活用されたデータセットはこれまでなかった種類のもので、今後のデータ分析手法の幅を広げる貴重なものだといえそうだ。(編集担当:久保田雄城)