3月12日の「改正道路交通法」では高齢運転者事故は減らない。75歳以上はMT車運転励行、左脚ブレーキ訓練必須

2017年02月18日 14:53

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3月12日から施行される改正道路交通法で、高齢者のペダル踏み違い事故は減らせるのか?

 ここ2~3年、テレビなどの報道で目に付く「高齢者ドライバーによる重大な人身事故」を含む交通事故のニュース。その多くの原因は、ブレーキペダルとアクセルペダルの踏み間違いという“単純な運転ミス”だ。ミスは“単純”ではある。が、後に述べるが、コトは重大な問題をはらんでいる。

 高齢者の運転ミスが増えているようにみえるのは、相対的にドライバーの高齢化が進んでいるからで、警察庁の統計資料によれば、65歳以上のいわゆる“高齢者ドライバー”の数は、一昨年2015年で1710万0828人。すべての自動車運転免許証保有者の20%超にのぼる。最近、事故を起こしがちな年齢として注目されている75歳以上にフォーカスしても、477万9950人の自動車免許保有者がいる。全ドライバーの6%ほどだ。この数は決して少なくない。しかも、85歳以上のドライバーが50万人以上も存在するのだ。

 この数と比率は、日本の人口高齢化に伴って、増えることはあっても、減ることはない。

 ところで、この3月12日から、改正「道路交通法」で自動車ドライバーに課せられる義務もずいぶん変わる。先般、報告したヘッドライトの「ハイビーム使用令」だけではない。

 今回の「改正道路交通法」では、高齢者ドライバー事故の多い75歳以上のドライバーに対する免許制度が強化される。

 まず、ひとつ。75歳以上で、信号無視や通行区分違反、一時停止違反などの比較的軽微な違反行為をした際でも、「臨時認知機能検査」を受けなければならない。この検査で認知機能の低下が指摘され、自動車運転に影響を与えると判断された場合、「臨時高齢者教習」を受講しなければならない。「医師の診断書」の提出が求められる場合もある。

 もうひとつは、免許更新時の検査だ。この際の「認知機能検査」で“認知症の疑い”とされた場合、先の違反の場合と同じく、「臨時高齢者教習」を受講し、「臨時適性検査」を受ける、あるいは「医師の診断書」の提出が求められる。

 しかし、こうした施策で高齢者が起こす交通事故は減らせない。そもそも、多くの高齢ドライバーが起こす、ペダル踏み違いによる事故を減らすには、踏み違いでクルマが暴走する事故を起こさない、“間違いが起きない”クルマづくりが必要だ。

 この対策で注目されるのは、「自動ブレーキ」などの先進運転支援デバイスだが、そこに頼るまえに高齢者(若年層を含む)のヒューマンエラーをフォローする何らかの方策がいる。

 ヒューマンエラーが頻発する根っこには、自動車の運転が簡単になりすぎたことがある。つまり、2ペダル車の普及だ。セレクターがN&Pレンジ以外に入っていれば、仮にドライバーが心臓発作など突発性の病気で倒れても、クルマは走り続ける。しかし、クラッチ操作が必要なマニュアルトランスミッション車(3ペダル車)なら、ほぼエンストして止まる。

 極端な提案ではあるが「75歳以上のドライバーが運転するクルマはマニュアル車(3ペダル)に限る」とすれば、ペダル踏み違い事故は、確実に減る。さらに言うなら、「両脚、両手の操作」が必要なマニュアル車の運転は、ボケ防止にも効果的なはずだ。

 もうひとつの提案は、2ペダル車運転ドライバーに「左脚ブレーキ」を推奨して練習させることだ。これは、2ペダル限定免許取得時から教えて徹底した方がいい。(編集担当:吉田恒)