時間外労働上限に労使合意へ一層努力を 総理

2017年02月24日 08:06

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安倍晋三総理は22日の働き方改革実現会議で長時間労働について労使合意への一層の努力を要請した。

 安倍晋三総理は22日の働き方改革実現会議で長時間労働について「長時間労働の上に様々な商習慣ができ、労働慣行ができている。これを変えていくためには、政労使が一体となって取り組んでいくことが必要」と語り「労使ともに、働く人の実態を最もよく知っているわけであり、現場に対してどれくらいの時間外労働時間の上限が、実効性があり、かつ、ぎりぎり実現可能なのかということを考えて頂きたい。これまでの努力が水泡に帰すことのないよう、しっかりと合意形成に努めていただきたいとお願いを申し上げます」と労使合意への一層の努力を要請した。

 前回の実現会議では連合の神津里季生会長は政府の働き方改革実現会議で事務局が示した時間外労働上限設定について「原則として36協定の限度を、月45時間、かつ、年360時間とするなど、基本的な方向性については私たちが述べてきたことも踏まえて頂いている」と評価。

 そのうえで「この実現会議でコンセンサスをつくり、決めていくことが重要と考える」とし「この実現会議での合意形成に努めたい」と述べた。

 また神津氏は「早期に実現するために実行計画を取りまとめた後には『労働政策審議会』で法案策定の議論を速やかにスタートさせて頂きたい」と実効を早期にあげることを提案した。

 神津氏は「時間外労働の上限時間設定の法制化を実効性あるものとするために、各々の立場から前向きなメッセージをインパクトのある形で発信し、職場に定着させることが不可欠。労働組合としても、それぞれの産業別、企業別の労使関係の場において、常態化した長時間労働をなくしていくという改革の趣旨を受けとめ、その準備を含めてしっかりと対応していきたい」とした。

 一方、経団連の榊原定征会長は「時間外労働に上限規制を設けることには賛成」としながらも「余りに厳しい上限規制を設定すると企業の国際競争力を低下させる懸念がある」としたほか「中小零細企業では絶対的に人が少ない上、人手不足で必要な人材の確保がままならないこともあり、現状とかけ離れた上限規制への対応は非常に難しくなる」と実態にそうような設定を求めた。

 また、榊原会長は「上限規制は1人でも1分でも違反があれば罰則つきで遵守を求める重いものなので、規制が厳し過ぎると規制対象外の管理職、いわゆる管理監督者に過度な負担がかかる懸念が生じる」と経営側の意見を訴え「現実的な具体案を」と要請していた。(編集担当:森高龍二)