気象庁が「波浪予想図」を改善 大波が発生しやすい海域の情報を追加

2017年03月01日 07:38

画・気象庁か_「波浪予想図」を改善 大波か_発生しやすい海域の情報を追加

気象庁は、船舶の航行や漁業などの安全のために発表している海上の波の予想図を改善し、大波が発生しやすい「航行に危険な海域」の情報を追加することにした。この情報は、3月7日(火)より提供される。

 気象庁は、船舶の航行や漁業などの安全のために発表している海上の波の予想図を改善し、大波が発生しやすい「航行に危険な海域」の情報を追加することにした。この情報は、3月7日より提供される。

 船の大敵とも言える大波。一方向からの単純な波はもちろん、海面状況によっては複数の方向に向かう波が重なり合って、いわゆる「三角波」などの突然の大波が起きる場合もある。これらは船の転覆や遭難の大きな要因となっているため、気象庁はこれまでも「波浪予想図」を発表して、船の航行や漁業の安全のための情報提供を行なってきた。

 そしてこのたび、海面状況の変化が激しく大波が発生する危険が高い海域について、新たに情報を追加することにした。「航行に危険な海域」として、3月7日より情報を追加する。また、現在公開している各種の波浪図についても、視認性をより高めるために、従来の白黒版に加えてカラー版の公開を開始する(同3月7日より)。

 今回の改善で追加される情報は、以下の通りだ。
 
1.外洋波浪予想図(FWPN)

複数の方向から波が到達し、海面の状況が複雑になることが予想される海域
・波高1.8m以上で、かつ2つ以上の波が存在するところが対象
 ・特に危険な区域には、個別の波の情報も掲載

 2.沿岸波浪予想図(FWJP)
 波と逆向きの流れがあり、波の変化が激しくなることが予想される海域
 ・波高1.0m以上、かつ波高が5%以上増大するところが対象

 船を不規則に揺らす波は、操舵に大きな影響を与える。海面の状況は風、低気圧、台風、地震などの多種多様な要因が絡み合って変化するために予測が難しいが、今回の改善によって、船舶がより危険を察知しやすくなるだろう。

 四方を海に囲まれている日本は、漁業による食糧の確保、資源の採掘などで絶えず海の恩恵を受けている。さらに経済活動のための輸出入のルートとしても、船舶の航行は重要なライフラインとなっている。そのため、海上の安全確保は欠かせない課題だ。
 
 どんなに造船技術や操舵技術が発達しても、波で転覆しない船を作るのは難しい。向上した予測技術を生かして、より船舶の安全が高まることが期待される。(編集担当:久保田雄城)