地球温暖化の傾向が止まらない。気象庁が発表した2016年の世界の年平均気温偏差は+0.45℃となり、統計を開始した1891年以降、最も高い値を記録した。日本の年平均気温偏差は+0.88℃で、やはり統計を開始した98年以降、最も高い数値を記録した。
2016年の世界の年平均気温偏差は+0.45℃となり、統計を開始した1891年以降、最も高い数値を記録した。日本の年平均気温偏差は+0.88℃で、やはり統計を開始した98年以降、最も高い数値を記録した。
「年平均気温偏差」とは、1981~2010年の30年間の平均値を基準値とし、それを平均気温から差し引いた値のことだ。気象庁が発表した今回の調査でも、地球全体の温暖化が改めて明らかとなった。日本の年平均気温は100年間で1.19℃上昇しており、特に90年代以降は高温となる年が続いている。
地球温暖化の主な原因としては、二酸化炭素などの温室効果ガスの増加が挙げられている。また、エルニーニョ現象などの自然変動の影響も大きいと見られており、直近では、14年夏~16年春の長期間にかけて海水面の温度上昇が続いた。これが昨年の最高値更新の主な原因となったと分析されている。
森林や耕作地が少なく、アスファルト面や建造物の多い都市部では、ビルの壁面や道路などが熱を蓄積する「ヒートアイランド現象」も問題となっている。アスファルトやコンクリートは時間が経っても冷えにくいため、日中に蓄えた熱を夜遅くまで放出して、気温を上昇させるのだ。政府に委託された都市緑化機構が企業・民間の緑化計画を支援してはいるが、ビルの屋上や壁面の緑化には限界があり、改善は難しい状況だ。
猛暑をしのぐためにエアコンを長時間つける家庭やオフィスも多く、エアコンからの排熱も問題視されている。しかし、エアコンの使用を自粛すると熱中症を引き起こしかねず、実際に救急搬送される人や死者も年々増えている。既に生命を維持するためのライフラインと化しているため、厚生労働省などは、無理なエアコンの自粛は控えるように呼びかけている。
以上のように、温暖化の要因は多岐に渡っており、いずれも一朝一夕の解決は難しい状況だ。工業や商業の発展とも密接に関わっているため、根気強い政策や都市計画が求められている。各国の政府や企業によって対策技術も研究されてはいるが、地球規模での気候変動も大きな要因とされているため、今後も気温の上昇は続きそうだ。(編集担当:久保田雄城)