2016年も残すところ、あとわずか。12月12日には、今年一年の世相を表す「今年の漢字」が京都の清水寺で発表され、オリンピックや政治がらみの金銭問題などにちなんで「金」という字が選ばれた。他にも今年を象徴する漢字として「震」や「揺」などを想像した人も多いのではないだろうか。
今年はそれほどまでに、例年に増して地震の多い年だった。気象庁の発表によると、2016年は、4月に発生した熊本地震をはじめ、最大震度7の地震が3回、最大震度6強の地震が5回、そして震度1以上の地震にいたっては、およそ6000回も観測されているという。
地震大国である日本に住まう限り、どこに居ても地震災害のリスクはつきまとう。1995年の阪神淡路大震災、2011年の東日本大震災などの被災地だけでなく、今まで大きな震災被害を受けたことのない地域でも決して安穏としていられるわけではない。地震対策は日本全国で常に心掛けておかなければならない。
防災訓練や防災グッズなどの備えも重要だが、個人レベルでできる最大の地震対策は住宅だ。とはいえ、住宅の地震対策にもいくつか方法がある。
一つは、基礎と建物との間に免震装置を設置して免震層を設けることで、地震のエネルギーを吸収し、建物自体には揺れを直接伝えないようにする「免震」。もう一つは、構造用合板や筋交いなどを効果的に用いることで建物の強度を高め、揺れに耐える「耐震」。そして、建物の内部に制震部材を組み込み、それらが地震のエネルギーを減衰させたり増幅を防いだりすることで、建物の振動を最小限に抑える「制震」。とくに制震は高層ビルなど、揺れが増幅してしまう建物に適した技術といわれている。
しかし、持ち家や高層マンションはともかく、借家や賃貸マンション、アパートなどは住人が勝手に改築したり補強したりするわけにはいかない。耐震性能の基準は満たしていたとしても、大地震を想定すれば、賃貸物件といえども、やはり最新の地震対策を施した住居に住みたいものだ。また、物件のオーナーにとっても、安全と安心は入居者への強烈なアピールとなる。
例えば、東建コーポレーションが、2016年12月に発売した高耐震アパート「シェルル・ロコモダンX」などがある。同製品は高耐震鉄骨造のうえに、「TRCダンパー」などの制震装置で知られる住友理工と共同開発した制震フレームを標準搭載。同フレームは、地震のエネルギーを吸収する特殊粘弾性ゴムを平行な2枚の鋼板で挟み込んだもので、外力によってゴムがせん断変形する際に生じる抵抗力により地震の振動エネルギーを吸収する。これと耐震フレームを併用することで、従来のアパート商品では類をみない最高基準の耐震性「耐震等級3」を取得している。
地震は専門家でも予測することは難しいといわれている災害だ。しかも、ひとたび起これば生命の危険にさらされることにもなりかねない。また、本震を凌いでも、その後に続くであろう余震も怖い。自分だけでなく、家族の安全のためにも、最新の地震対策を施した住宅を選びたいものだ。(編集担当:松田渡)