2月の「円安」関連倒産は3件 企業倒産は依然として沈静化が続く

2017年03月06日 07:57

 2月の外国為替市況では、24日のニューヨーク外国為替市場において、米国新政権の経済政策に対する不透明感を背景にリスク回避的な円買い・ドル売りが加速し、円相場は約2週間ぶりに1ドル=111円台の円高に振れた。米国の連邦準備理事会(FRB)による3月の利上げは難しいとの見方も強めたことも円相場を押し上げ要因になり、2月9日以来の円高ドル安水準を付けた。

 こうしたなか、企業倒産は依然として沈静化が続き、東京商工リサーチによると2月の「円安」関連倒産は3件(速報値:2月28日現在、前年同月14件)だった。また、「円高」関連倒産も2カ月ぶりに1件(前年同月ゼロ)発生した。外国為替市場では、為替変動の大きな振れが目立たくなったなかで、じりじり円高方向に振れている。ただし、資源価格の上昇もあって鋼材、樹脂、紙などの主要素材に値上げの動きが広がりつつある。中小企業の経営に与える影響が大きいため、今後の為替相場の動きとともに目が離せないとしている。

 2月の倒産事例(円安関連)としては、服飾資材・ハンガー等卸のサンリバー(TSR企業コード:575117923、法人番号:3120001099901、大阪府)がある。同社は、ハンガー、生活用雑貨の輸入販売会社。平成15年8月に中国現地法人を設けるなど事業拡大を続け、18年9月期の売上高は7億4,791万円を計上していた。しかし、円安の影響により粗利率は低下して為替差損の計上も重なり、25年9月期は債務超過に転落した。こうしたなか、業績回復が困難と判断して破産を申請し。負債総額は約3億円。

 また、造花卸などの白川アート(TSR企業コード:400642360、法人番号:3180001060155、愛知県)は、造花の輸入卸会社。ピーク時の平成13年1月期の売上高は2億5,000万円を挙げていたが、それ以降は業績を伸ばすことができなかった。このため仕入先を海外に求め、輸入品造花の取扱いが主力になっていた。円高時には収益を確保できたが、最近の円安傾向に伴い平成26年1月期の売上高が5,100万円まで縮小、赤字を計上するなど経営が苦しさを増していた。資金繰りが悪化するなか業況改善の兆しを見出す事ができないため破産を申請した。負債総額は4,000万円。

 特殊印刷機製造のコウテック(TSR企業コード:571680445、法人番号:4122002001729、大阪府)は、ロールツーロールスクリーン印刷機等を中心に国内企業のみならず韓国などの海外企業に販路を広げ、平成20年6月期には売上高3億2051万円を計上していた。

 その後、リーマン・ショック等を経て徐々に業容は縮小していたが、スポットでの大口受注があり22年6月期まで売上高は3億円台をキープしていた。しかし、当時の円高傾向を背景に海外の大口案件のほか、取引先数そのものが減少して24年6月期に売上高は2億円台を割り込んだ。

 さらに業況が改善しないまま26年6月期には売上高が約1億円まで落ち込んだ。収益面も低調で資金繰りが悪化するなか、事業継続のめどが立たず、27年12月には実質的に事業を停止していた。負債総額は2億7,000万円だった。(編集担当:慶尾六郎)