2016年に判明した「返済猶予後倒産」の件数は413件

2017年02月09日 09:50

 2009年12月に施行された中小企業金融円滑化法は2013年3月末に終了した。しかし、終了後約4年が経過した現在でも、実質的には同法施行時と同様に「金融機関は引き続き円滑な資金供給や貸付条件の変更等に努めるべき」との金融庁による方針のもと、貸付条件変更等の実行が続いている。金融庁が公表している資料によれば、2013年3月末~2016年9月末時点までの累計で約367万件の申し込みがあり、約358万件が貸付条件変更等の実行対象となった。

 一方で、こうした返済猶予を受けながらも経営改善が図れずに倒産に至るケースも散見されている。帝国データバンクでは、金融機関から返済条件の変更等(リスケジュール)を受けていたと判明した企業(負債1000万円以上)の倒産を「返済猶予後倒産」と定義し、件数・負債推移、業種別、地域別などについて集計・分析を行った。

 2016年に判明した「返済猶予後倒産」の件数は413件となり、前年比4.8%の増加となった。中小企業金融円滑化法が終了した2013年をピークとして、「返済猶予後倒産」は減少傾向で推移していたが、3年ぶりに増加に転じた。企業倒産全体は2010年以降7年連続で前年を下回っているが、返済猶予を受けることで倒産を回避している企業は相当数存在する。こうしたなか、暫定リスケジュールの猶予期限を迎えた企業が、再建を断念するケースが散見されるという。

 2016年の負債総額は2537億1400万円となり、前年比13.7%の増加となった。負債規模別に見ると、「1~5億円未満」が207件(構成比50.1%)で最多だった。以下、「5~10億円未満」(66件、構成比16.0%)、「10~50億円」(57 件、同 13.8%)と続いた。構成比が高い「1~5億円未満」(前年比10.1%増)、「5~10億円未満」(同13.8%増)が前年を上回ったほか、負債額の大きいレンジである「50~100億円未満」(4件、同33.3%増)、「100億円以上」(1件、前年ゼロ件)も前年を上回ったことで負債総額は増加した。

 業種別に見ると、「製造業」が113件(構成比27.4%)で最多だった。以下、「卸売業」が96件(同23.2%)、「建設業」「小売業」が各66件(同16.0%)で続いた。増加率を見ると、「不動産業」(前年比266.7%増)がトップ。次いで、「建設業」(同15.8%増)、「卸売業」(同12.9%増)の順となった。なお、「不動産業」は、集計開始時の2009年以降で最多となった。

 地域別に見ると、「関東」が114件(構成比27.6%)で最多となり、以下、「中部」が78件(同18.9%)、「近畿」が71件(同17.2%)と続いた。増加率では、「北陸」(前年比47.4%増)がトップ。次いで、「東北」(同38.1%増)、「関東」(同16.3%増)の順となった。

 倒産態様別に見ると、「破産」が338件(構成比81.8%)で最多。次いで「特別清算」が41件(同9.9%)となり、清算型の倒産が9割超を占めた。増減の傾向を見ると、「特別清算」は2年連続で前年を上回っている。返済猶予を受けた企業が第二会社を新設し、事業を第二会社に移転して継続する一方、旧会社の債務を特別清算により処理するケースが増加している。(編集担当:慶尾六郎)