6年間累計の「東日本大震災関連倒産」の件数は1951件、負債総額は1兆6499億1700万円に

2017年03月03日 08:08

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地震による建物の損壊や津波による浸水などのほか、取引先被災による仕入先・販売先の喪失や風評被害の影響などにより倒産する企業が現在もなお散発しているという。

 東日本大震災の発生からまもなく6年を迎える。企業に対しては、被災施設・設備の復旧や二重ローン対策に向けた資金繰り支援のほか、販路開拓や研究開発に対する各種支援など、各地で復旧・復興に向けた取り組みが進んでいる。一方、地震による建物の損壊や津波による浸水などのほか、取引先被災による仕入先・販売先の喪失や風評被害の影響などにより倒産する企業が現在もなお散発しているという。

 こうしたなか、帝国データバンクでは東日本大震災による影響を受けたことで倒産した企業(負債1000万円以上、個人事業主含む)を「東日本大震災関連倒産」と定義し、震災発生直後の2011年3月から2017年2月末まで、6年間で判明した関連倒産について集計・分析した。

 2011年3月から2017年2月までの6年間で判明した「東日本大震災関連倒産」の件数は1951件、負債総額は1兆6499億1700万円にのぼった。震災発生からの経過年数別に見ると、2011年3月から2012年2月までの「1年目」は650件判明。その後は震災からの復旧・復興が進むなか減少傾向を辿り、直近の「6年目」では51件と、前年比69.8%の大幅減少で、「1年目」の1割未満にとどまった。

 1995年1月の阪神大震災の影響を受けて倒産した「阪神大震災関連倒産」と比べると、比較可能な発生後3年間の累計で見ても、「東日本大震災関連倒産」は1493件と、「阪神大震災関連倒産」の約3.8倍にのぼったとしている。

 被害分類別件数を見ると、建物の損壊や津波による浸水などの「直接的被害」を受けた倒産は6年間累計で193件と、全体の1割を占めた。一方、「間接的被害」による倒産は1758件となった。「間接的被害」の内訳を見ると、風評被害や自粛ムードなどの「消費マインドの低下による売上不振」が1102件と過半数を占め、次いで、交通網寸断による出荷・調達難などの「流通の混乱」が123件、工期や納期遅延などによる「生産・販売計画の変更・頓挫」が120件となった。

 業種別件数を見ると、6年間累計の最多は「サービス業」(430件、構成比22.0%)となった。以下、「卸売業」の400件(同20.5%)、「製造業」の379件(同19.4%)と続く。経過年数ごとの推移を見ると、「建設業」は1年目に120件を数えたが、復興需要から土木工事や建築工事が増加したことなどを受け、6年目には6件と20分の1にまで減少した。

 業種細分類別での6年間累計を見ると、「ホテル・旅館経営」(120件、6年目は4件)が最多で、突出して多い。金融機関から返済猶予などの資金繰り支援を受けつつも、宿泊施設・設備の損壊のほか、観光客減少にともなう客室稼働率の低下などが大きく影響し、抜本的な収益改善が見込めず倒産に至ったケースが多く見られた。以下、荷動きや取引先減少に見舞われた「道路貨物運送」(50件、6年目は1件)、資材調達難などの影響を受けた「木造建築工事」(48件、6年目は0件)と続いた。業種細分類別上位には、食料品や衣料品、レジャー関連など、個人消費に左右される業種のほか、広告制作やソフトウエア開発などの法人向けサービスが目立ったとしている。(編集担当:慶尾六郎)