「恐怖指数」とも言われる日経平均VI(ボラティリティー・インデックス)も週を通じて小さく、10日終値は14.74で3日終値の17.58から2.84ポイントも下落。6日は15を超えてもそこそこの数値で、7日以降、終値はずっと15を割り込んだ。
10日に発表された2月のアメリカの雇用統計は、非農業部門雇用者数の伸びは23.5万人で市場予測の19万人を上回り、完全失業率は4.7%で市場予測と同じ。平均時給は+0.2%で市場予測の+0.3%よりも下だった。14~15日のFOMCでの「3月利上げ」にはゴーサイン。発表直後、為替のドル円はドル高に動き115円台前半、大阪夜間取引は19500円を超えたが(権利配当落ち分を足すと19630円オーバー)、その後、「ADP雇用レポートほど良くなかった」と為替はドル安、先物は下落に転じた。
ヨーロッパ市場はドイツはマイナス、英仏はプラス。NYダウは雇用統計発表を受けて高く始まったが、原油先物価格が48ドル台まで下落し5日続落したことでエネルギー、金融セクターを中心にプラス幅が圧縮し、午後には一時マイナスになる。終盤に上昇して20900ドル台を回復し、終値は44ドル高で続伸。NASDAQもS&P500もプラスだった。アメリカの財政収支は2ヵ月ぶりの赤字だが赤字額は前年同月比-0.3%。金先物価格はリスクオンで8営業日続落した。為替のドル円のNY時間終値は114円台後半、ユーロ円はユーロ高が進み122円台半ば。大阪夜間取引終値は19430円。CME先物清算値は19445円だった。それぞれ権利配当落ち分推定130円を足すと19560円、19575円。
イベントラッシュの今週の日経平均の行方は予測しにくいが、13日は19600円を割り込んだ水準で始まるだろう。上値については、ボリンジャーバンドは10日終値の水準が高めなのに対しオシレーター系指標は「買われすぎ」が1個しかなく、テクニカルに対して相反する解釈もできるが、10日の286円高は3月としてはプラス幅が突出して大きかったので、ボリンジャーバンドの25日線+2σの19654円が限界に近いとみる。
一方、下値はFOMCや日銀会合に比べるとオランダの総選挙やアメリカの予算教書の結果は予想がつきにくく、「イベントの衝撃で海外株安、円高でリスクオフ」により、かなり下までを想定したい。その第1候補は25日移動平均の19284円で、第2候補は今週19115~19139円に位置する日足一目均衡表の「雲」の上限。ここはペシミスト・シナリオで「雲」のほうを採用。悲しいことに悲観的な観測はよく当たる、東京市場なので。
ということで、今週の日経平均終値の予想変動レンジは19100~19650円とみる。
今週、オランダの総選挙で極右の自由党が大勝して過半数に接近し、トランプ大統領の予算教書で減税策が出ないか期待はずれに終わり、FOMCはまさかの利上げ先送り。日銀会合ではETF買入枠を縮小し、東芝は監査法人がサインを拒否して決算発表ができず東証2部落ちどころか上場廃止の危機に陥るとしたら、為替のドル円は110円割れ覚悟、日経平均は1000円安覚悟。「悲観主義者(ペシミスト)とは、ズボンにベルトを締めた上に、サスペンダーもしている者のことだ」などとからかわれそうだが、常に最悪の事態も想定しながら行動するのは、大事なこと。(編集担当:寺尾淳)