東芝<6502>は、3月14日に予定していた2017年3月期第3四半期の決算発表を再度延期した。これに先立つ2月10日、東芝の全額出資で東芝メモリが設立された。4月1日に分割が予定されている半導体メモリー事業の受け皿で、国内移管会社5社(国内移管5社)の株式が東芝から東芝メモリへ移管される。
東京商工リサーチでは保有する企業データベースから、国内移管5社の仕入先を抽出し、企業規模や業種などを分析した。それによると仕入先は23社(重複分を排除)が確認され、最も多い業種は電気機械器具卸売業の3社(構成比13.0%)だった。資本金別では、1億円未満の企業が7社(同30.4%)あった。
国内移管5社の仕入先23社の業種別で、最多は電機機械器具卸売業の3社(構成比13.0%)。次いで、半導体製造装置製造業、電気計測器製造業が各2社(同8.7%)だった。以下、労働者派遣業、商品検査業、機械設計業、機械器具設置工事業などが各1社(同4.3%)で続く。
23社の本社地は、最多が東京都の9社(構成比39.1%)。次いで、神奈川県、福岡県、大分県の各3社(同13.0%)だった。国内移管5社のうち、4社がある三重県はジャパンマテリアルの1社だった。
23社の売上高で最も多いのは、50億円以上の14社(構成比60.8%)で、このうち8社が上場企業だった。次いで、1億円以上10億円未満の3社(同13.0%)。1億円未満と10億円以上50億円未満は、それぞれ1社(同4.3%)。
23社の資本金で最も多いのは、1億円以上の16社(構成比69.5%)だった。1,000万以上5,000万円未満の5社(同21.7%)、5,000万円以上1億円未満の2社(同8.7%)の順。1,000万円未満の仕入先はなかった。
東芝から東芝メモリに株式移管される国内グループ会社5社(国内移管5社)の仕入先は23社で、半導体メモリー専業だけに比較的少ない。ただ、仕入先の業種は多岐にわたっており、事業分野のすそ野の広さと同時に専門に特化した事業形態であることを示している。
売上高別では50億円未満が5社(構成比21.7%)、資本金別では1億円未満が7社(同30.4%)に上り、業容が比較的小さい企業とも取引があることがわかった。
4月1日に分割予定の半導体メモリー事業の価値は、2兆円以上との見方も出ている。債務超過が視野に入り苦境に陥った東芝としては、東芝メモリ株式の過半数の売却でも財務面は大幅に改善される。
ただ、東芝持分が過半数を割り込み、外部の第三者が筆頭株主に踊り出た場合、東芝メモリの信用力はマジョリティを獲得した企業に大きく依存することになる。このため、今回の調査で判明した国内移管5社の仕入先は、取引条件や与信限度額の見直しを強いられる可能性もある。
1875年の創業以来、1世紀以上にわたって国内外の電機業界をリードしてきたため、東芝グループの取引先は多岐に及び、これらステークホルダーは東芝の動向を注意深く見守っている。それだけに東芝は早急に現実的で合理性のある再建プランの策定に加え、迅速かつ正確な情報開示が求められている。(編集担当:慶尾六郎)