【今週の振り返り】年度末には世紀末が待っていた353円安の週

2017年04月02日 10:21

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28日の権利付き最終売買日は217円高。29日の権利配当落ち日は14円高。だが年度末に世紀末的な下落を喫し、権利配当落ち分約130円は、結局埋まらず。

 新規IPOが2件。音楽用電子機器の開発、販売を行うズーム<6694>がジャスダックに新規上場。公開価格1520円より49.8%高い2278円の初値がついた。OA機器、情報セキュリティ関連機器の販売と保守サービスを行うNo.1(ナンバーワン)<3562>がジャスダックに新規上場。公開価格1570円の2.2倍の3460円の初値がついた。この日のジャスダック2本はものづくり企業と情報セキュリティ関連で手堅く、心配はなかった。

 空運は、格安海外旅行ツアーの会社が破産すると、JAL<9201>は、21日のパリ発羽田行きの「立ち席」未遂問題で国土交通省から厳重注意を受けても0.60%高。ANAHD<9202>は0.37%高。旅行会社で経営破たんや不祥事があると、利用者の間でPEX運賃などの正規航空券を航空会社から直接買う動きが出ると思われて、それを材料に航空会社の株価が上がる傾向がある。それに加え権利付き最終売買日なので「優待航空券取り」でも買いが入る。東芝は前場プラスだったが後場マイナスで0.55%安。任天堂は0.93%安で、東証1部全面高の中でひとりカヤの外だった。

 日経平均終値は217.28円高の19202.87円、TOPIX終値は+20.44の1544.83。売買高は19億株、売買代金は2兆4150億円。値上がり銘柄数は1804、値下がり銘柄数は153。プラスは32業種で、上位は鉱業、ゴム製品、ガラス・土石、金属製品、化学工業、卸売など。マイナスは石油・石炭1業種。上海総合指数は0.42%安だった。

 29日の日経平均は小幅続伸。ヨーロッパ市場は揃って上昇。NYダウも好調な経済指標や原油価格の上昇を受けてリスクオンし150ドル高で20700ドル台。全セクターがプラスで9営業日ぶりの大幅反発。NASDAQは3営業日続伸し、S&P500は4営業日ぶりに反発した。リビア最大の油田が生産を停止して原油先物価格は48ドル台に反発。金先物は3営業日ぶりの小幅反落。S&Pコアロジック・ケース・シラー住宅価格指数は+5.9%で2年7ヵ月ぶりの高水準。CB消費者信頼感指数は+9.5の125.6で「光ファイバー・バブル」当時の2000年12月以来16年3ヵ月ぶりの高水準。

 フィッシャーFRB副議長が「今年の利上げはあと2回」と発言。トランプ大統領は環境規制を撤廃する大統領令に署名した。地球温暖化に関する「パリ条約」も離脱する意向で、パリ条約の目標達成を目指したオバマ政権の「グリーンパワー計画」も撤廃する。ライアン下院議長は「共和党は今後、税制改革にコミットする」と発言した。マーケットが望んでいるのは、それ。アップルは上場来高値更新。フォードはミシガン州の製造拠点で追加投資。クルーズ船を運航するカーニバルは増収増益でEPS(1株当たり利益)は市場予測を上回った。アメリカの長期金利が上昇し、朝方の為替レートはドル円が111円台前半、ユーロ円が120円台前半。大阪夜間取引終値は19190円。CME終値は19185円。29日は権利配当落ち日なので、この数値がそのまま日経平均の始値のメドになる。

 日経平均始値は13.91円高の19216円。高値は9時3分の19251円。安値は10時47分の19164円。終値は14円高の19217円。取引時間前、英国のメイ首相がリスボン条約50条に基づいてEUからの離脱を本部に通知する文書に署名した。EU本部は3月中に「行動方針案」を発表し、今後約2年かけて離脱の手続を進めていく予定。経済産業省から2月の商業動態統計速報値が発表され、小売業販売額は前年同月比+0.1%だが、2月はうるう年の昨年より1日少なく、その分は単純計算で3.44%減。それでもプラスということは実質的に大幅プラス。前月比は+0.2%だった。百貨店とスーパーの合計は全店-2.6%、既存店-2.7%。コンビニは+0.8%だった。

「配当権利落ち日」の日経平均は小幅プラスで始まり、配当落ち分の約130円を始値段階でいきなり全部埋める離れ業を演じてのスタート。TOPIXはわずかなマイナスで始まるが直後プラスにタッチし配当落ち埋め。しかし序盤の株価指数はともに乱高下し、日経平均は一時19251円をつけたかと思えば9時台後半にはマイナスに落ち、19167円まで84円も下落する。10時台にはプラス圏に戻れそうで戻れないうちに反落してしまう。春のヨーロッパにポピュリズム退潮の風が吹いても、トランプ、金正恩という「危険なふたり」を挙げ「何があるかわからない」と怖がる弱気の虫は健在。為替のドル円は111円台前半で変化が乏しいが、10時台後半には日経平均が安値を更新する。11時台は為替が少しだけ円安方向に振れ、TOPIXをマイナスに置いたまま日経平均はプラスに浮上するが、前引けでは頭を抑えられてマイナスになり19200円も割り込む。5.52円安、TOPIXは-2.87だが、日銀のETF買いが入るかどうかは、月間枠5000億円をすでに使い切っていることもあり、微妙。

 昼休み中の為替レートは変化なかったが、後場の日経平均は再開後、下げ幅を拡大して19170円近辺まで下落する。それでも1時台はプラスにタッチした後、前日終値をはさんだ小動きが延々と続く。2月の自動車各社の生産・販売実績は、トヨタ<7203>は国内生産+23.6%、海外生産+6.3%。日産<7201>は国内生産+14.2%、海外生産+10.3%。ホンダ<7267>は国内生産-8.3%、海外生産+8.2%。日本勢8社トータルの世界生産実績速報値は+11.0%。海外生産は+10.1%で全社増加。トヨタ、日産、ホンダは2月としては過去最高。国内生産は+12.5%で、ホンダ、富士重工業(4月からSUBARU)<7270>がマイナスだった。8社トータルの輸出は+2.9%、国内販売は+7.6%。