2016年度の来店型保険ショップの市場規模は1,882億円の見込み 2017年度には2,064億円に

2017年04月08日 10:24

 矢野経済研究所によると、2016年度の来店型保険ショップの市場規模は新契約年換算保険料ベースで1,882億円の見込み、2017年度には2,064億円と2,000 億円超の規模に達すると予測している。また、来店型保険ショップの新規契約件数は 2016年度で184万件の見込み、2017年度には203万件まで拡大すると予測している。

 2016年2月に日本銀行が導入したマイナス金利政策の影響による保険会社の運用難から、一部保険商品で販売停止が起こっている。2017年4月以降も、予定利率の引下げを要因に保険料の値上げが予定されており、販売停止の保険商品もさらに増加するとみられている。

 しかしながら、消費者の認知度は高まってきており、これまで中核を占めていたファミリー層以外にも、若年層や高齢層など顧客層の広がりを見せ、新たに富裕層などの新たな顧客層も獲得できている。これまで加入していた生命保険の見直しのほか、追加加入も増加しており、来店者の増加と共に市場規模は依然として拡大基調である。

 矢野経済研究所が2017年2月に実施した生命保険加入者へのアンケート調査によると、現在、来店型保険ショップを利用していない人のうち、14.8%は今後利用したいという意向があるとの結果であった。同結果からも今後の市場の成長性は高いことが示唆されるとしている。来店型保険ショップ市場は、現段階においてはまだ小規模ではあるものの、今後も成長が見込まれる市場であると考えるとしている。

 これまでも来店型保険ショップ市場への参入企業は、乗合代理店を本業とする企業のほか、生命保険会社、クレジットカード会社、銀行、証券会社、流通小売業など、子会社や一事業領域として異業種からの参入があった。改正保険業法の施行後は、保険会社、地方銀行グループ、準大手証券会社グループによる有力地方来店型保険ショップの買収が相次いでいる。また、損害保険会社からは、子会社の代理店が来店型保険ショップの運営も始めた。

 一方、来店型保険ショップを本業とする企業の事業の在り方にも変化があった。特に大手企業の中には、委託型募集人を完全雇用に切替えて対応したことで、来店型保険ショップ事業に加え、個人・法人への訪問事業を営む多角化経営を進める企業もある。地方の有力来店型保険ショップでは、既述の通り、地方銀行や準大手証券会社の傘下に入り、グループ力を活かして銀行代理業務、金融商品仲介業務など保険を含めたワンストップ化を進める動きも見られる。また、他の来店型保険ショップでも、グループ戦略の積極化、訪問や法人向け事業の強化、イベント開催による来店誘致の促進などに取組んでいる。

 昨今のスマートフォンの普及に伴い、予約状況の把握や来店予約を可能にするなどスマートフォン対応の機能強化も進めている。また、既存契約者に対し、来店型保険ショップ側としては継続取引を望んでいることから、保険のみならず、資産形成、老後の備えなど広範に及ぶ取引や相談の内容についても需要開拓すべく、これまで以上に契約者との関係を強化し、コニュニケーションの強化に努めている。この1~2年は、改正保険業法への対応で新規出店が足踏み状態であるが、来店型保険ショップのなかには、早期に人材育成を進め、サービス提供の均質化を図ることで、今後の出店戦略を積極化させたいとする企業も少なくなかった。(編集担当:慶尾六郎)