2015年度のペット関連総市場は前年度比1.5%増の1兆 4,720億円 キャットフードが好調

2017年03月23日 06:22

 矢野経済研究所では、国内のペットビジネスの調査を実施した。

 2015年度のペット関連総市場は、小売金額ベースで前年度比101.5%の1兆 4,720億円と推計した。ペット用品はほぼ横這いとなったが、ペットフードは引き続きキャットフードが好調に推移し、市場は微増で推移した。サービス関連では、ペット保険が依然市場を拡大させている。

 2016年度も同様の傾向が続いていることから、ペット関連総市場規模は前年度比101.1%の1兆4,889億円を見込む。今後もペットの飼育頭数の大幅な拡大は見込みにくいものの、関連各社の付加価値製品・サービスの提案が進むことで、当該市場規模は金額ベースでは横這いから微増にて推移すると予測している。

 ペットフードの2015年度の市場規模は、小売金額ベースで前年度比102.8%の4,735億円と推計した。ドッグフード市場は、大型犬の減少により、依然としてドライフードの大容量(大袋)タイプの需要が縮小しているなか、高価格帯商品であるプレミアムフードの需要拡大によって、数量の減少を金額でカバーする格好で、金額ベースではほぼ横這いで推移している。飼い主のペットに対する健康志向の高まりにより、年齢別や犬種別、体格別、健康目的・症状ケア別などの商品の細分化・多様化が進んでいる。

 キャットフード市場は、市場規模はドッグフードにはまだ及ばないものの、拡大基調である。犬の飼育頭数が伸び悩むなか、犬と比較し飼育頭数が安定している猫に対し、ペットフードメーカー各社からの期待が相対的に高まっており、猫用フードの新商品投入が活発化している。また小売店側でも猫関連売場を拡充させるなど、市場拡大の追い風となっている。全体的にペットの高齢化や小型犬化が進むなか、軟らかいタイプのフードへの需要が高まっているが、キャットフードではウェットフードが好調であった

 ペット用品の2015年度の市場規模は、小売金額ベースで前年度比100.1%の2,505億円と推計した。ペット用品では、引き続き、デンタルケア用品が拡大基調である。また犬用トイレシーツ、猫砂など、室内飼育においてほぼ必需品となっている排泄ケアの消耗品は、市場規模は大きいものの、依然として低価格化の傾向は続いており、ほぼ横ばいで推移した。一方、近年老犬介護やマナーの観点から需要が高まっているペット用おむつなどについては市場が伸長している。

 ペット関連産業市場には生体やペット美容室、ペット医療、ペット保険、ペットホテルなどの各種サービスが含まれる。2015年度の同市場規模は、小売金額ベースで前年度比101.2%の7,480億円と推計した。

 ペットの飼育頭数が近年、頭打ち傾向とされる一方、ペットに対する支出は増加傾向にある。コンパニオンアニマル化により、ペットを家族の一員として受け入れる家庭が増加し、ペット飼育のサポート、またはペットとの生活を楽しむためのサービス関連支出が増加している。なかでも、ペット保険市場の拡大にも象徴されるように、ペットの健康管理のための支出は近年増加傾向にあり、今後も飼い主の需要に応えるかたちで、ペットの健康維持・管理を目的とした商品およびサービスの充実が進んでいくとみられるとしている。(編集担当:慶尾六郎)