関西電力<9503>が関西の鉄道会社・京阪電鉄を傘下に持つ京阪ホールディングス<9045>から、有料老人ホーム及び訪問介護事業を行う京阪ライフサポートの100%買収を発表。今回の買収を契機に、関西電力グループが運営の介護施設はほぼ倍増することとなる。
関西電力は高浜原発3,4号機の再稼働のスケジュール具体化により、今後業績の改善が見込める中、京阪ライフサポートの買収を4月11日に発表。
福島第一原発事故の発生以前より、関西電力は通信会社運営、マンションディベロッパー事業運営、警備会社運営と事業多角化に積極的な電力会社として知られていた。原発の再稼働が進まず、関西電力は財務的に厳しい状況が続いていたが、今後原発再稼働による採算改善が見込まれる中、新ためて事業の多角化に着手した格好となる。
今回関西電力が買収する京阪ライフサポートは、京阪HDの子会社として京阪電鉄沿線に介護付有料老人ホーム3施設、デイサービスセンター4施設、ケアハウス4施設の合計11施設を運営中。
関西電力は既に子会社かんでんジョイライフで介護事業を展開。ベルパージュ、ユトリーム、ナービスという3ブランドで介護付き有料老人ホーム12施設、グループホーム1施設の合計13施設を既に運営しており、京阪ライフサポートの買収により関西電力グループの運営する介護事業は13施設から24施設とほぼ倍増することとなる。
事業多角化及び市場成長を背景に、大手事業者の介護事業への参入がパナソニック、ソニー他、数年相次いでいる。経営の近代化が遅れており、人手不足で労働環境が厳しいと言われている介護事業において、大手企業の参入により介護事業の経営の近代化且つ労働環境の改善が期待されている。
少子高齢化の進む日本で、数少ない成長市場と言える介護事業であるが、その労働環境はよいイメージは持たれていない。しかしながら大手企業の参入により、介護事業に対するイメージ改善や介護職の労働環境の改善、そして利用者の満足度の向上に繋がることを期待したい。(編集担当:久保田雄城)