問題議員は離党させて幕引きか・・・。国民が求めているのは「国会議員」としての責任を求めているのであって、自民党の党籍でない。今回の対応をみると自民党には自浄能力がないらしい。
女性問題が原因とみられる中「一身上の都合」で経済産業政務官を辞任した広島4区選出の自民党、中川俊直衆院議員が21日、離党届を出し受理された。自民党処理の仕方に問題がある。
今月20日の週刊新潮に不倫関連疑惑を報じられ、同日の参院経済産業委員会の理事会では野党が中川氏による説明を求め、紛糾し、委員会審議が取りやめになった。21日も同様に衆院経済産業委員会が開けなかった。
国会運営に影響が出ている。自民党は陰で離党を求めただけ。党紀委員会にかけ、事実関係を本人から聴取し、場合によっては除籍処分とともに、国会議員辞職を求めるべきでなかったのか。持ち回りで党紀委員会をこなし、離党届を形式的に処理し幕引きを図ろうとしただけだ。
菅義偉官房長官は記者会見で「議員辞職はご自身が判断されること」と本人任せにした。自民党の二階俊博幹事長も国会議員としての資質、議員辞職についてどう考えるかとの記者団の問いに「本人が考えるべきことで、国会議員は多くの権限を与えられ、同時に多くの責任を国民の皆さんに持っている。一人ひとりが考えるべきこと」と本人が考えることだと強調し、国会に残るべきとも、辞めるべきとも意思表示しない。自民党幹部として、所属議員の問題には、離党させて、かかわらない無責任姿勢でなく、毅然と対応すべきだった。
二階幹事長は「党がこのことに、わざわざ、ご親切だか、お節介だか分からないが手取り足取り言うべき話じゃなく、本人が考えること」と強調。国民への責任を公党として感じるのであれば、お節介でも、事実関係を聴取し、党として責任ある対応をとるべきだった。身内に甘い自民党を象徴した。
民進党の蓮舫代表は記者会見で「重婚・ストーカー疑惑は本当なのか。報道では奥様ががんで闘病中という記述もあった。国会議員という以前に、人としておかしいと率直に申し上げざるを得ない」と人格に踏み込み、問題視した。
「政務官を辞任しただけで終わらせる話ではない」とも指摘し、「国会にも重大な影響が出ている。政府、与党、自民党、公明党は重く受け止めるべき」と批判した。
安倍政権は盛んに「道徳教育」や「日本の美しい伝統や文化」を唱えるが、道徳教育が必要なのは身内の議員に対してこそではないか。夫としてのモラルも持てない議員のように筆者にはうつる。
中川議員は自身のフェイスブックで「重婚罪にあたることはしていないし、ストーカー登録をされたかのような報道がされているが、そのような事実は一切ございません」(20日付)と発信している。
そのこと以前に、不倫関係が存在したこと自体、公人として相応しくないとの自覚は持ってしかるべきだろう。国会議員の倫理観、道徳観はこの程度か、低レベルの出来事だ。そして、政権与党であるにもかかわらず、毅然と党として対応せず、離党で幕引きを図る自民党の自浄能力のなさこと、国民には深刻な状況だ。(編集担当:森高龍二)