ウイングアーク1stは、運営メディア「データのじかん」にて、オープンデータに基づいて日本の農業の現況をまとめたものを公表した。これによれば、日本の農業人口は減少し続けているが、新たに農業に参加する「新規就農者数」は近年増加傾向にあるとの事実が、農林水産省発表のデータなどから示されている。
日本の農業人口は2011年の約26.0万人から減少を続け15年には約21.0万人に減少している。これに対して新たに農業に参加する人は11年の約5.8万人から15年には約6.5万人に増加している。農業人口の減少は農業従事者の高齢化が要因となっており、15年の農業従事者の平均年齢は67歳と、11年に比べて1.1歳高くなっている。新規就農者数が増加している要因には法人等の組織経営体の増加が挙げられ、09年の農地法改正以来16年6月末までに2222もの法人が農業に参入しているとのこと。耕地面積についても、全体としては11年から縮小しているものの、一経営団体あたりの耕地面積は拡大しており、農業の大規模化が進んでいることが示されている。
日本の農業はICTによる超省力・高品質生産といったスマート化の方向への展開が図られており、13年11月には「スマート農業の実現に向けた研究会」が設置されるなど農林水産省を中心に方策が推し進められている。具体的には、GPS自動走行システム等の導入による農機の自動走行や重労働を軽労化するアシストスーツ、除草などの作業を軽労化するロボット等の研究開発・導入実証などが進められているほか、ノウハウのデータ化や、農業機械のアシスト装置により経験が浅い担い手にも精度の高い農業が営めるシステムが開発されている。
自治体も農業のスマート化に積極的で、会津若松市では「スマートアグリ実証事業」を展開。センサーで土壌の水分量、日射量、肥料濃度の情報を集め、作物の成長に最適な環境を保つなどの試みにより、実証事業前の14年度と16年度を比較すると、トマトで労働時間10%減、出荷量11%増、販売額36%増、単価22%増と成果が表れている。
スマート農業の実現により農業経営の効率化が図られることが明確に示され、農業人口の減少による課題がビジネスチャンスに変換されていることが見て取れる。(編集担当:久保田雄城)