2024 年にはZEHの約4割に蓄電システムが搭載される

2017年04月30日 07:04

 シード・プランニングは、国内の定置用蓄電システムの市場動向に関する調査を実施し、その結果をまとめた。

 住宅のさらなる省エネや、太陽光発電システム自家消費に向けた動きが強まる中、2016年度の蓄電システムへの国の助成政策は、蓄電システム単体のものから、ZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)やバーチャルパワープラント(VPP)へと変化した。蓄電システムの役割は、建物やコミュニティ全体の省エネ、エネルギーを最適化するための重要なアイテムへと進化しつつある。2019年以降の太陽光発電買取期間終了(2019年問題)に向け、蓄電システムと太陽光発電との連携がさらに進みつつある。

 2016 年度公共産業用蓄電システム市場は94 億円を見込む。2015 年度までは9 割超、2016 年度は8 割超をグリーンニューディール(GN)基金向けの販売が占める。グリーンニューディール基金の予算枠に応じて市場が推移しており、グリーンニューディール基金終了年の2016年度には市場が落ち込むことが見込まれる。

 2017 年度は一時的に市場が落ち込むものの、VPP 用途での出荷や、価格低下に伴う需要拡大により、2018 年度から市場が回復。2020 年度には360 億円、2024 年度には966 億円にまで成長する。

 2019年に太陽光発電システムの買取期間が終了する住宅は40~50万軒にのぼるとみられる。2020年以降も15~30万軒/年の住宅で買取期間が終了する。買取期間を終了した住宅では、買電から自家消費にシフトするニーズが高まるとみられる。

 また、太陽光発電システムのPCS(パワーコンディショナー)の耐用年数は10~15年といわれている。買取期間終了にあわせて太陽光発電システムのPCSを交換し、ハイブリッドPCS蓄電システムを導入する動きがでてきており、2019年に向けてさらに加速する。買取期間が終了する設置者のうち、2019 年度には15%程度が蓄電システムを導入。導入割合は徐々に高まり、2024 年度には3 割程度が蓄電システムを導入すると予測した。

 2020年に新築住宅の過半数(約40~50万軒)をZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)化することが目指されている。蓄電システム価格低下、ZEHを扱うハウスメーカー、ビルダー、工務店の増加に伴い、ZEHへの蓄電システム搭載率が向上する。2020 年にはZEH の約1 割、2024 年には約4 割に蓄電システムが搭載されると予測した。

 実証事業をはじめとし、2017年度以降徐々にVPP(バーチャルパワープラント)事業が本格化する。経済産業省では、住宅用蓄電システムの価格目標として、2020年に9万円/kWh(2015年度比約40%)を設定。目標達成に向け、VPP予算をはじめとした各種補助金の要件設定の検討を進めるとしている。VPP市場立ち上がりに伴い蓄電システムの価格低下と普及が進む。VPP 実証事業最終年である2020 年には、数万台単位の蓄電システムがVPP 用途で出荷されることが見込まれる。

 国の助成、量産効果による製造コスト低減(EV市場、蓄電システム市場成長)、施工費削減などにより蓄電システムの価格は低下する。住宅用/業務用のKWhあたりの価格(施工費含む)は、2016 年度23.2 万円/kWh、2020 年10 万円/kWh、2024 年9 万円/kWhと低減し、2020年頃には経済メリットが得られる製品となることが見込まれる。価格低下に伴い蓄電システムの需要は拡大し、戸建住宅以外の様々な場所で蓄電システムが利用されるようになるとしている。(編集担当:慶尾六郎)