固定価格買取制度(FIT)改正。家庭の太陽光発電はこれからどうなる?

2017年04月23日 11:26

画・アスクル物流センターの火災に見る、太陽光発電システムの消火困難

固定価格買取制度(FIT)の実施方法を規定した法律が改正され、2017年4月1日に施行された

 固定価格買取制度(FIT)の実施方法を規定した法律が改正され、2017年4月1日に施行された。FIT制度の開始から5年。導入量は大幅に増大したものの、国民負担の増大や、未稼働案件の問題、地域とのトラブルなど様々な課題が浮き上がってきたことから、制度を改正することによって是正しようとするもので、これまでの設備認定から事業計画認定とすることで、事業の適切性や実施可能性をチェックする。また、発電事業者に対して責任と、再生可能エネルギーの長期安定発電を促すのが目的だ。

 2012年にスタートした日本のFIT制度は、太陽光発電をはじめ、風力など5種類の自然エネルギー発電が対象になっている。とくに一般家庭では太陽光発電が主流となっており、FIT初年度は42円という高額な買い取り価格が設定されていたため、設備も急速に普及した。しかし、その後、設備の導入コストの低減に伴って、売電価格も下がり続けているのが現状だ。2017年度の10kw未満の余剰売電価格は1kwあたり、28円~30円、19年には24円~26円にまで引き下げられる見通しとなっている。また、国の補助金も、県や市等の地方一部自治体を除いて廃止される。

 では、今後の太陽光発電はどうなるのだろうか。一つの方法としては「貯める」ことがある。そもそも一般家庭における太陽光発電システム設置の最大のメリットは、家庭で使う電気を自家発電することにある。将来的に「売る電気」より「買う電気」の方が高くなるのは確実なので、それならば売らずに使えばいい。そこで注目されているのが蓄電池だ。家庭用の蓄電池が普及すれば、普段は太陽光発電の電気を使用し、足らなければ蓄電した電気を使い、それでも足らなければ電力会社から買うようにすればいい。しかも、夜間の安い電気を蓄電池にためておけば、かなりの節約になるだろう。また、貯めた電気を電気自動車などに利用する手もある。しかも、日産自動車のEV車・リーフなどには蓄電機能が装備されており、24kW時、一般家庭が消費する2日分もの電気を蓄電することができる。こういったものを相互に併用すれば、数十円の売電価格以上に太陽光発電の恩恵を受けることができるかもしれない。

 また、ZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)仕様の住宅と連動することでも太陽光発電のメリットは大きくなる。例えば、アキュラホームが販売している最新型の木造注文住宅「エコスマートハウスZEH」は、屋根一体型の太陽光発電10.73kW、オール電化、樹脂複合サッシ、全室LED照明などを標準とするZEH仕様の商品だが、同社試算によると、35年間で約1148万円の得になるという。同商品が、延床面積117.58㎡で、本体価格1999万円(税込)~となっているので、極端に考えれば、電気代を節約することで、半額以下で新築住宅が買えてしまう計算になる。

 太陽光発電設備を導入した家庭にとっては、毎年の売電価格の推移はもちろん気になるところだが、目先の利益に一喜一憂するのではなく、これからは家庭で賢く使って大きく節約することを考えるべきだろう。(編集担当:藤原伊織)