若年層を中心に正方形化が進む写真フォーマット

2017年05月02日 07:38

画・若年層を中心に正方形化が進む写真フォーマット

写真フォーマットは長方形から正方形に変わりつつある。写真の構図を難しく考えず直感的に撮れることも正方形が好まれる理由のひとつ。

 写真はフィルムの時代からデジタルに移り変わっても、そのフォーマットは長方形が定番だった。しかし、若年層を中心にフォーマットが正方形になりつつある。その影響を受けて写真関連のメーカーも正方形をサービスとする商品を販売し始めた。

 若年層が正方形の写真を好むようになったのは、写真共有SNS「インスタグラム」が普及したことから。ユーザー数は世界全体で約5億人、国内だけでも1,000万人を突破しており、世界全体だけを見ればすでにTwitterの約3.2億人を大きく上回っている。

 アメリカで誕生した「インスタグラム」は写真共有に特化したSNSで、登場時はコダックのインスタマチックやポラロイドのインスタントカメラをリスペクトしていたことから投稿画像は正方形に限られていた。現在は横長、縦長の写真も投稿できるようになっているが、デフォルトは依然、正方形の状態になっており、投稿するユーザーも圧倒的に正方形が多い。

 正方形フォーマットを好む若年層に向けて、いち早く対応したのが富士フィルム<4901>。累計2,500万台を出荷した人気商品のインスタントカメラ、チェキシリーズに正方形で撮影できる「instax SQUARE SQ10」を加えた。

 写真サイズはフィルムのフォーマットが縦86ミリメートル、横72ミリメートルと縦長になっているが、画面サイズが62ミリメートル四方なので、正方形の写真の余白にコメントを書き込むことができるようになっている。撮影した画像をデジタル方式で保存できることも特徴のひとつで、内蔵メモリーに約50枚を記録することが可能だ。

 キャノン<7751>は軽量小型サイズのコンパクトフォトプリンター、「SELPHY CP1200」に正方形シールサイズで印刷できる機能やインスタントカメラ風に2面固定の正方形でプリントできるレイアウト印刷機能を搭載、写真の色補正やノイズリダクションも備えており、スマートフォンの写真アプリを凌ぐ多彩な写真加工ができる仕様になっている。

 長方形の写真では被写体を中心に置くと余分な空間が生まれやすいが、正方形であれば被写体を中心に置けば興味の対象が分かりやすくなる。写真フォーマットの正方形化は今後、さらに普及する見込みだ。(編集担当:久保田雄城)