トヨタのモータースポーツ活動が今シーズンは、いい感じでスタートしている。シーズン緒戦で2位、第2線のラリー・スエーデンで優勝した世界ラリー選手権(WRC)に参戦するラリーチームトヨタも好調だが、FIA世界耐久選手権(WEC)でもトヨタチームは抜群のダッシュを決めている。
そのWECは、5月6日に第2戦「スパ・フランコルシャン6時間」決勝レースが行なわれ、TOYOTA GAZOO Racingの「TS050 HYBRID」が接戦を制し、1-2フィニッシュを飾ったのだ。第1戦「シルバーストーン」でもTS050 HYBRIDの1台が宿敵ポルシェを抑えて優勝を飾っている。絶好調だ。
今回の「スパ6時間」決勝レースは、トヨタのTS050 HYBRID 8号車が優勝、7号車が2位に入り、TOYOTA GAZOO Racingにとって上出来のレースとなった。トヨタ3台目の9号車は5位でゴールした。
しかしながら、レースそのものは波乱含みの展開だった。優勝したトヨタ8号車と2位の7号車は、フルコース・イエローのタイミングが少しずれていれば、その順位が入れ替わっていたかもしれない。
レース序盤はポールポジションのライバル・ポルシェがリードする。セバスチャン・ブエミのトヨタ8号車とマイク・コンウェイのトヨタ7号車がそれに続き、プレッシャーをかけ続けた。そして早くも10周目、7号車がライバル・ポルシェをオーバーテイク、首位に立ち、その3周後には8号車も2位に上がった。
ニコラス・ラピエールのドライブする9号車はスタート直後の第1コーナーでポールポジションのライバル車の内側に飛び込んだが、止まり切れずにコースを外れ、大回りしてレースに復帰した。その後ラピエールは猛烈な追い上げでポジションを挽回、48周目に国本雄資にバトンタッチした時には、5位に返り咲いていた。ステアリングを引き継いだ国本は、初めてのスパに緊張するも周回を重ねる毎にペースを上げる。
レース半分を消化した午後5時半、小林可夢偉が駆るトヨタ7号車が2位以下に大きく差をつけて首位を快走。28秒遅れてアンソニー・デビッドソンの8号車、そこからさらに22秒遅れてポルシェの1号車が続いた。7号車は公式練習から順調だった。小林もコンウェイも疲労の色も見せず快調にトップを走行する。
しかし、レースはその後に他車のクラッシュから提示された2度のフルコース・イエローで大きく変化する。その影響をまともに受けたのは7号車だった。7号車はイエローコーションが出る前に2度ピットストップを済ませており、イエローコーションが出てからピットインをした8号車をはじめ、ライバルに対し1分にもおよぶ大きなタイムロスを喫した。
その結果、レース終盤になって8号車がトップを独走することになり、小林の駆る7号車は2位に上がり、8号車を猛追した。そして、最終ラップ、7号車は、1秒9差まで8号車を追い詰めた。
8号車には幸運の、7号車には不運のフルコース・イエローだった。ともあれ、TOYOTA GAZOO Racingとしては2014年のWEC上海戦以来の1-2位。2012年にWECに参戦し13度目の勝利となった。9号車の国本は、周回遅れをかわすのに苦労したが、サラザンとラピエールから多くを学びながら目標の完走を果たし5位をゲットした。
次回、6月17日~18日に開催されるWEC第3戦「ル・マン24時間レース」は、TOYOTA GAZOO Racingにとって、さまざま苦い思い出もあるレースだ。6月4日の公式テストデーを経て、ル・マン24時間で悲願の初優勝を目指す。(編集担当:吉田恒)