2017年「WEC第1戦シルバーストーン6時間」でチームTOYOTA、緒戦勝利

2017年04月18日 07:03

WEC 1st Toyota

表彰台のいちばん高い位置に立ったTOYOTA GAZOO Racingの8号車をドライブした中嶋一貴、セバスチャン・ブエミ、アンソニー・デビッドソンの3名

 2017年4月16日に行なわれたFIA世界耐久選手権(WEC)開幕戦シルバーストーン6時間レース決勝は、TOYOTA GAZOO Racingの中嶋一貴、セバスチャン・ブエミ、アンソニー・デビッドソンの駆るTOYOTA 「TS050 HYBRID」8号車が、激戦を制して緒戦勝利を挙げた。

 高速コーナーが続く1周5.589kmのシルバーストーン・サーキットにあわせてハイ・ダウンフォース仕様を持ち込んだTOYOTA GAZOO Racingは、その戦略が奏功し、前日の公式予選で2台のTS050 HYBRIDがポールポジション並びに2番手とグリッド最前列を占めた。

 しかし、決勝レースでは、異なる空力仕様で臨んだライバルに思わぬ苦戦を強いられることとなった。

 現地時間16日(日)正午に決勝レースがスタートする。最前列から飛び出した2台のTS050 HYBRIDは、序盤、7号車、8号車と続き周回を重ねた。7号車のマイク・コンウェイは、1分40秒を切るラップタイムで逃げ、追走するチームメイトのブエミが駆る8号車と共にライバルとの差を広げ、開幕戦での勝利を確実にしたかに思えた。

 しかし、その7号車にトラブルが襲う。コンウェイから小林可夢偉にドライバースイッチする直前にリアのサスペンションに不具合が発生。小林の7号車はライバル勢に抜かれた後も反撃できない。

 さらに、小林から新しくチームに加わったホセ・マリア・ロペスにドライバー交代した直後、ロペスの7号車は挙動を乱してコースアウト、タイヤバリアに激突した。大きなダメージを負ったが、何とかピットまで帰り、66分をかけて完全修復。コンウェイがドライブしてレースに復帰した。しかし優勝したチームメイトの8号車からは38周遅れの総合23位に終わった。

 予選2番手からスタートし、7号車の脱落で8号車はトップたった。が、レースが2時間を過ぎたあたりで雨が降り出す。ポルシェ勢はインターミディエイトのウェットタイヤに交換、TOYOTAの8号車はスリックタイヤのままで走行し、2位に後退するも、天候が回復すると再びトップにたって中嶋にステアリングを渡した。

 8号車のドライバーが中嶋に代わった時点で、7号車のアクシデント処理のためにセーフティカーが出動。その結果、中嶋の8号車と2位につけたポルシェ919とのタイム差がほとんど無くなった。

 セーフティカーが退き、レースは残り2時間。TOYOTA 8号車とポルシェ919は激しいトップ争いが展開する。TOYOTA 8号車はレースが残り45分になった時点で、最後のピットストップを行ない、中嶋からブエミにドライバー交代。#8号車のピットストップでライバルに1位の座を譲ることとなったが、そこから終盤戦へと8号車のブエミの猛追が始まった。そしてレースが残り13分を切った時、TS050 HYBRID 8号車がポルシェをかわしてトップに立ち、わずかに6.173秒差でゴールへ飛び込んだ。

 この勝利で、優勝した3人のドライバーには、RAC(英国王室自動車クラブ)から伝統あるツーリスト・トロフィー賞が贈られた。この賞は1905年に創設された英国のモータースポーツ界では最高権威の賞で、タツィオ・ヌボラーリ、グラハム・ヒル、スターリング・モスといったそうそうたるドライバーが受賞している。8号車の中嶋は日本人として初めてこの賞を受ける栄誉を授かった。

 チームTOYOTAは、「ル・マン24時間レース」の前哨戦ともいえるWEC第2戦「スパ6時間レース」への準備を整えている。次戦スパ6時間レースには、初めて3台体制で臨むことになり、ステファン・サラザン、国本雄資、ニコラス・ラピエールの3名がドライブする「TS050 HYBRID 9号車」を投入する。(編集担当:吉田恒)