日本経済団体連合会の榊原定征会長は11日までの記者会見で、憲法問題について「施行から70年が経過し、この間、わが国は平和憲法の下、平和と繁栄を享受してきた。この意義は大きく、高く評価したい。この点をしっかり踏まえて、憲法問題を考える必要がある」と語った。
榊原会長は「基本的に平和憲法の精神は維持し、その上で自衛隊の存在意義を考えていく」とした。また「この70年間、日本を取り巻く状況は政治、経済、安全保障など大きく変化した。国際社会における日本の位置づけや役割、国民の考え方も変わってきている。年内を目途に経団連としての見解をまとめ、何らかの意見を示していきたい」考えを示した。
経団連は自衛隊については2005年に示した「我が国の基本問題を考える」との意見の中で「現行憲法第9条第1項で規定されている国際平和の希求、侵略戦争の放棄が、わが国の基本理念である『平和』に根ざすものであることは言うまでもない。従って、第1項は引き続き存置されるべき」としている。
一方で「戦力の不保持を謳う第9条第2項は明らかに現状から乖離しているとともに、その解釈や種々の特別措置法も含め、わが国が今後果たすべき国際貢献・協力活動を進める上での大きな制約にもなっている」と指摘。
このため「憲法上、まず、自衛権を行使するための組織として自衛隊の保持を明確にし、自衛隊がわが国の主権、平和、独立を守る任務・役割を果たすとともに、国際社会と協調して国際平和に寄与する活動に貢献・協力できる旨を明示すべき」との考えを表明していた。
また集団的自衛権についても「わが国の国益や国際平和の安定のために行使できる旨を、憲法上明らかにすべきである。同時に、安全保障に関する基本法を制定し、その行使にあたって、国際情勢、活動地域、活動内容を踏まえて、国会の事前承認を原則とすることなど、限定的、かつ、その歯止めとなる措置を整える必要がある」と述べていた。(編集担当:森高龍二)