日本銀行決済機構局がまとめた「最近のデビットカードの動向」によると、2016年度のデビットカード決済件数は1億756万件、決済総額は8921億円に達した。15年度に比べると決済件数は約38パーセント増、決済総額は約15パーセント増となる。
決済金額は4年連続、決済金額は6年連続で増加しているが、金融機関が発行するキャッシュカードをデビットカードとして利用する「J-Debit」は5年連続で減少傾向をたどっている。
逆に増加傾向を見せているのが国際的に活動するクレジットカード発行会社のブランドデビット。16年度の決済総額は「J-Debit」が4,061億円だったことに対してブランドでビットは4,859億円となり、初めて「J-Debit」を抜いた。
ブランドデビットはクレジットカード利用な店舗であればそのまま利用でき、またインターネットショッピングの決済でも使えるなど利用範囲が多い。ブランドデビットを発行している金融機関は17年3月段階で31行となり、15年度の15行から倍増した。
1,077行が発行している「J-Debit」に比べると圧倒的に少ないが、やはり利用範囲の多さが増加の要因となっている。「J-Debit」は家電等や生命保険、損害保険での利用が目立ち、スーパーやコンビニでの利用が低くなっている。これは「J-Debit」に加盟している店舗が限定的で、代金がリアルタイムで引き落とされるため、金融機関のオンラインシステム運営時間に制約されていたことが影響している。
ただし、金融機関のオンラインシステム稼働時間の延長から、現在は主要金融機関が発行する「J-Debit」の利用時間がほぼ24時間体制になっており、「J-Debit」のサービスは改善されつつある。
増加傾向を見せるデビットカードだが、カード形態の電子的決済手段としてはクレジットカードが全体の89パーセントを占めており、電子マネーが9パーセントでデビットカードはわずか2パーセントに留まる。
プリペイド型の電子マネーはサインや暗証番号の入力が不要であることに加えて使うほどポイントが溜まるという利点がある。電子的決済手段の中で9パーセントを占めていることを考えれば、デビットカードがサービスの内容次第でさらに普及する可能性は十分にある。(編集担当:久保田雄城)