15年度のデビットカード国内市場規模は8,905億5,000万円 16年度は前年度比25.7%増の1兆1,193億円まで拡大

2016年10月09日 08:13

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2015年度のデビットカード国内市場規模は、取扱金額ベースで8,905億 5,000万円であった

 デビットカードとは、買い物などをした際に、その代金が銀行口座から即時に引き落とされるタイプのカードである。現在、国内におけるデビットカードは J-Debit とブランドデビットに大別される。J-Debitは1999年1月に日本デビットカード推進協議会が開始したデビットカードサービスであり、全国の実店舗における加盟店約50万カ所で利用できる。

 一方のブランドデビットとはVisa やJCBなどの国際ブランドのデビットカードで全世界の国際ブランド加盟店で利用できる。現在のところ国内で展開しているのはVisaおよびJCBの2社(ブランド)である。2006 年に地方銀行がブランドデビットを導入して以降、特に 2013 年から国内の大手銀行導入したことを契機に、徐々に導入する銀行が増加している。

 今回、矢野経済研究所では、国内のデビットカード市場の調査を実施した。調査期間は2016年3月~6月、調査対象は国内のデビットカード決済サービス事業者、プロセシング会社。調査方法は同社専門研究員による直接面談、電話・e-mail によるヒアリング、ならびに文献調査を併用した。

 2015年度のデビットカード国内市場規模は、取扱金額ベースで8,905億 5,000万円であった。2016年度は前年度比25.7%増の1兆1,193億円まで拡大する見込みである。その要因として、ブランドデビットの拡大があげられる。ブランドデビットは、国際ブランドや発行元(イシュア)による販促施策が奏功したことに加え、新たに導入する銀行の取扱いの増加などを背景に、若年層やシニア層、主婦層などを中心に幅広いユーザーへの普及が進み、堅調に拡大している。一方、J-Debit は、BtoB 取引や小売店における消費減少などを受け、取扱高が減少しているとしている。

 2015年度に国の政策を受けて、地方自治体がまとめた地方版総合戦略における策定段階(フェーズ)が終わり、今年度から実行段階に移行している。現在、多くの銀行が地方創生に関連した融資やファンドなどの取組みが目立つなか、デビットカードも、こうした地域活性化の取組みの一つとして活用すべきものと考える。

 一例として、地方創生に関する取組みを見据えた場合、期間限定ではあったものの、地方銀行による県内を中心に多くの企業をパートナーとして巻き込んだ取組みが注目を浴びた。こうした事例は、地方版総合戦略にも合致するため、自治体などと協業しやすいものと考える。多くの地方銀行がデビットカードの発行開始、もしくは発行予定であり、今後も地方経済の基盤である地方銀行を中心に、地方活性化の一つの施策として期待されるとしている。

 デビットカード国内市場規模は2016年度~2021年度の年平均成長率(CAGR)22.9%で推移し、2021 年度には取扱金額ベースで、約3兆1,300億円まで拡大すると予測する。大きな要因として、ブランドデビットの急速な拡大がある。ブランドデビット決済サービスは、堅調に市場規模を拡大し、2021年度には2兆7,000億円を超えると予測する。JCBブランドを採用する地方銀行や導入を検討する地方銀行が十数行に及んでいる。

 また、地方創生も大きな要因になると考えるとしている。地方経済の基盤であるこうした地方銀行の導入を契機に、加盟店開拓の積極化による加盟店の増加や、携帯電話料金の引き落しなど、利便性向上によるユーザー層の拡大など、デビットカードの普及拡大が進むとみられるという。(編集担当:慶尾六郎)