共謀罪」法案が、今国会で「テロ等準備罪」と名前を変え審議され、安倍首相は「確実な成立を目指す」と表明している。「共謀罪」の成立に危機感を抱く人々が、監視社会の到来に反対する声を上げる集会を各地で開いている。
あまりにも危険な法案のため、過去3回も廃案となった「共謀罪」法案が、今国会で「テロ等準備罪」と名前を変え審議され、安倍首相は「確実な成立を目指す」と表明している。今、国民の声に耳を傾けないままに「共謀罪」は成立しようとしているのだ。
このことを受け、各地で反対集会が起こっている。東京や大阪で数千人規模の集会が開かれたほか、福岡や金沢など各地で同様の集会は開かれ、「共謀罪」の成立に危機感を抱く人々が、監視社会の到来に反対する声を上げている。
今国会で成立しようとしている「共謀罪」法案は、新たに277もの犯罪で、「共謀罪」を成立させようとするもので、この「共謀罪」とは、犯罪を計画した段階でそれを取り締まることを可能にするものである。計画とは、例えば、会話や目配せだけでも成立し、ATMでお金を下ろしたり、買い物をするといった日常的な行為でさえも、犯罪計画つまり「共謀罪」として取り締まられる可能性がある。
これまでの我が国の法律では、「共謀」を取り締まるのは、極めて例外的なことだった。犯罪を行った段階の「既遂」、行おうとしてできなかった「未遂」、その前段階の「準備罪・予備罪」、さらにその前の「陰謀罪」、そして、「共謀罪」は「陰謀」が成立する前の段階のものである。東京オリンピックを安全に開催し、テロ犯罪を防ぐために、その前段階から取り締まる必要がある、とするのが、「共謀罪」を成立させようとする大義名分である。
ここで注意しなければならないのは、会話や目配せといった人々のコミュニケーションを取り締まりの対象とすることだ。これは、盗聴や盗撮といった通信傍受をしなければ、成り立たない。
そして、今や、通信傍受の技術は、際限なく進んでいる。盗聴や盗撮はもちろん、個人のSNSやメールの内容すらも、傍受することは可能である。「共謀罪」法案が成立し、法体制が整ってしまったら、恐るべき監視社会が到来する危険性がある。
最後に、過去、我が国の国民の思想や言論の弾圧に利用された治安維持法も、その成立当初は「一般の国民には影響がない」とされていた。「共謀罪」法案も同様に、「一般の国民には影響がない」とされている。(編集担当・久保田雄城)