テロ等準備罪に国連の特別報告者も問題を指摘

2017年05月21日 09:21

 自民党、公明党と日本維新の会が19日の衆院法務委員会で強行採決し、可決した『テロ等準備罪』(共謀罪)に、民進党や日本共産党、自由党、社会民主党の4野党はじめ日弁連、人権団体などが指摘する国家権力によるプライバシー侵害や表現の自由への懸念が、国連プライバシーの権利に関する特別報告者・ジョセフ・カナタチ氏からも指摘され、カナタチ氏は20日までに、今回の法案がプライバシーや表現の自由を制約する恐れがあることを指摘した書簡を安倍晋三総理に送付した。

 書簡は「法案の『計画』や『準備行為』の文言が抽象的で、恣意的適用のおそれがある」としたほか「対象犯罪の幅が広く、テロリズムや組織犯罪と無関係のものも含んでいる」と警告。そのうえで「いかなる行為が処罰対象となるかが不明確で、刑罰法規の明確性の原則に照らし問題がある」としている。

 指摘では(1)共謀罪を立証するためには監視を強めることが必要となるが、プライバシーを守るための適切な仕組みを設けることが想定されていない(2)監視活動に対する令状主義の強化も予定されていないよう、など懸念点を具体にあげている。(編集担当:森高龍二)