国際組織犯罪防止条約(TOC条約)締結のために必要だなどとして、テロ等準備罪(共謀罪)の創設を目指す政府に対し、与党の自民・公明と野党の日本維新の会が23日、国民の不安や懸念を残したまま、衆院本会議で法案を通過させた。審議の舞台は参院に移る。政府・与党は今国会で成立を図る姿勢を崩していない。
民進党の蓮舫代表は同日夕、記者団の質問に答え「法務委員会に差し戻ししっかり審議すべきと主張したが、(与党が)数の力で押し切ったことはとてもでないが納得できない」と自民・公明・維新のやり方を批判した。
蓮舫代表は「まさか同じ政党でも参院では自民・公明はこんな乱暴な議会運営はしないと思う」と良識の府として、与野党が国民の疑問や不安に答える慎重な審議、運営をおこなうことを期待した。
また、衆院での議論が深まらない最大理由が「金田勝年法務大臣の答弁能力のなさだ」と法務大臣としての資質のなさを指摘。「金田法務大臣は法案を全く理解していない。問題点は先送りどころか、棚上げをして数の力で押し切った」と大問題だと提起した。
この日、午前の記者会見で大串博志政調会長は「政府は『国連に採択された条約を締結するためには共謀罪は必要』と言ってきたが、その国連の方から安倍晋三総理に『共謀罪は広範な適用範囲によって、プライバシーと表現の自由の制限につながる可能性がある』という懸念の書簡が送られてきた。こういう恐れが払拭されない中で強行採決し、本会議でゴリ押しして法案を通していこうという政府の態度はあってはならない」としたうえで「国連の活動と日本政府の活動を整合させるためにやっているのに、国連から異論を突きつけられているのは、いかに政府の説明が怪しいか明らか」と訴えていた。(編集担当:森高龍二)