インドへの原子力発電所関連資機材や技術の輸出を可能にする「日印原子力協定」が7日の参院本会議で、自民・公明・維新などの賛成多数で承認された。協定ではインドが核実験を実施した際の協力停止については協定の本体に盛り込んでいない。政府は「協定第14条により、理由のいかんにかかわらず協定を終了できるため問題ない」としている。
協定に反対した社会民主党の又市征治幹事長は「(協定を終了できるとしても)稼働原発からの汚染資機材や使用済み核燃料、再処理や濃縮により生成されたプルトニウムを最終貯蔵施設を持たない日本に持ち帰るなどできるものではない」とその実効性に疑問を投げている。
又市幹事長は今回の協定に「インドとの原子力協定は2011年の東日本大震災と東京電力福島第一原発事故によって中断されてきたにもかかわらず、原子力を成長戦略に位置づけ、原発再稼働やインフラ輸出の柱としての原発輸出に躍起になる安倍政権によって2013年に交渉が再開されたもの。協定は核不拡散条約(NPT)非加盟国とのはじめての原子力協定であり、被爆国として核廃絶を強く訴えてきた日本が、インドの核兵器国としての地位を認め、確固としたものとすることを意味する」と問題だとした。
また又市幹事長は「NPTに入らずとも原子力協定を結べるのなら、むしろNPT加盟へのインセンティブを損なうことになり、核不拡散の努力を無にし、NPTの信頼性を傷つけることになりかねない」とも警鐘を鳴らした。(編集担当:森高龍二)