三井倉庫が、三洋電機ロジスティクス(SEL)の全株式を取得し、完全子会社化すると発表。新株予約権の譲受価額を含め、取得価額は242億円となる。SEL現経営陣は同社従業員とともに、原則として引き続きSELグループの経営に携わるとのこと。
SELは、家電分野を中心としてサードパーティーロジスティクス(3PL)事業で確固たる地位を築いている企業。また、家電という取扱商品の特性上、エンドユーザーに接する領域までの物流を担っている。今回の完全子会社化により、3PL事業をはじめとする成長の源泉となる事業の育成を進めている三井倉庫は、同社の志向する物流プラットフォームの構築と、消費者物流領域の強化を図り、顧客層の拡大を通じた同社の成長を目指すという。
近時、物流・ロジスティックス業界の動きが活発化している。優先海陸運輸と北日本倉庫港運が4月に合併、オルビスも西日本に自社初の物流拠点を開設し、関東にある3拠点も1か所に集約させ、効率化と震災などによるリスクの分散を図っている。更には、佐川グローバルロジスティックスとトライネットロジスティックスも、物流サービスの業務提携契約を締結。今回SELを完全子会社化した三井倉庫も、三郷ロジスティックスセンターの土地建物を譲渡することを発表している。
帝国データバンクの業界天気予報において、2012年度御の物流・倉庫分野は小雨。震災による影響が大きかった前年度の反動増で国内輸送量は増加する見通しであるという。ロジスティックス業界と物流・倉庫業界を同一視することは出来ないかもしれないが、大差はないであろう。活発化する物流・ロジスティックス業界にとって小雨は、恵の雨となるのであろうか。