川崎重工が30MW級の純国産高効率ガスタービンを販売

2012年02月29日 11:00

 川崎重工 が、同社製ガスタービンの最大出力機種である30MW級の純国産高効率ガスタービン「L30A」の営業活動を3月から開始すると発表。発電効率40%以上を達成し、窒素酸化物(NOx)の排出量をも世界最高レベルの15ppm(O2=15%)以下に抑えているという。

 L30Aは、同社が長年培ってきた産業用中小型ガスタービンの開発技術と航空用ジェットエンジンの高度な要素技術を結集して開発したもの。産業用の30MW級ガスタービンでは世界最高の発電効率を実現しているだけでなく、同機を用いたコージェネレーション(熱電併給)システムは総合効率83%以上、蒸気タービンとの組合せによるコンバインドサイクル発電プラントは50%を超える発電効率を実現しているという。これにより、自社開発のコージェネレーション用ガスタービンの製品ラインアップは500kW~30MWに拡大している。

 原発の相次ぐ停止や建設計画の凍結などの影響により、再生可能エネルギーによる発電施設の充実が急がれると同時に、米国がシェールガスと言われる非従来型の天然ガスを本格生産始めたことも追い風となり、火力発電などの既存の発電施設でのより効率的な発電が求められている。さらに、工場やオフィスビルなどに設置されている自家発電設備においても分散型発電のニーズが高まっており、コージェネレーションシステムやコンバインドサイクル発電プラントなどと組み合わせることでそのニーズに応えるガスタービンは、注目度が高い。実際、川崎重工の第3四半期におけるガスタービン・機械事業が、連結受注高が前年同期比96億円増の1233億円となっている。主因とは言えないであろうが、1978年から1987年度に実施された国家プロジェクト「高効率ガスタービンプロジェクト」(総予算約270億円)が今でも活きていると言えるだろう。(編集担当:井畑学)