物流大手の佐川急便を傘下に有する、持ち株会社のSGホールディングスが、東京証券取引所に上場申請を行ったと発表した。
佐川急便グループは上場しない有力な未上場会社として知られていたが、今回遂に上場の方向に舵を切ったこととなる。既に持ち株会社化する等、上場に向けた体制の整備を進めていた佐川急便グループであるが、上場が現実のものになろうとしている。
セールスドライバー制度を始め、ドライバーの個人事業主の色彩が強く、また近年では駐車違反に対し警察に対して社員による身代わり出頭問題が生じ、管理体制についての懸念もあることから、同社の上場審査は今後時間のかかる可能性も有している。しかしながら有力企業の上場案件であり、同社が東証の指導に真摯に向き合い状況の改善の努力を行うことで、上場自体は実現の可能性は高いと考えられる。
少子高齢化の時代を迎え、ドライバー確保に物流各社が苦労している中、佐川急便グループも同様の悩みを抱えている。また消費者からの信頼感という観点では、ヤマト運輸<ヤマトHD・9064>が一歩先んじている状況と言える。
しかし将来的な物流市場の縮小が免れない日本において、上場することで資金力及び企業体力の面からヤマト運輸、日本郵便<6178>に対抗できる状況を確保する狙いもある。
2017年は上場市場に昨年のLINE<3938>やJR九州<9142>のような目玉銘柄が予定されていない。佐川急便グループのSGホールディングスが年内の上場となれば、2017年のIPO市場の目玉銘柄となるのは確実な情勢である。尚、上場審査が順調に行われれば今秋の上場の可能性もある。
様々な要因からこれまで佐川急便グループの株式上場はなされていなかったが、今回は同社グループの上場が実現の可能性が高いと言える。佐川急便グループの上場が同社グループの体質改善に繋がるだけでなく、日本の物流市場のサービスの更なる深化にも繋がることを期待したい。(編集担当:久保田雄城)