佐川、ベトナムに100%出資の新会社設立。総合物流サービスを拡大

2015年04月30日 07:44

 佐川急便を傘下に持つSGホールディングスは4月22日、海外事業統括会社「SGホールディングス・グローバルPTE.LTD.」(SGHG)が、100%出資の新会社「SG佐川ベトナム」での貨物・物流サービスを5月からベトナム国内で開始すると発表した。

 SGHGでは、これまでベトナム資本との合弁会社である「佐川急便ベトナム」によって事業を展開してきた。同社では、運送、通関、保管、船積みなどを一貫して行う「フォワーディング」から、国際エクスプレス、国内宅配便、引越まで広範な事業を行ってきた。

 「佐川急便ベトナム」は1997年に設立され、まず航空・海上貨物輸出入事業、国内トラック事業、倉庫事業を開始した。2011年9月には、衣料品、雑貨等の検針・検品事業にも乗り出した。

 さらに12年3月からハノイ市、ホーチミン市で、日系物流企業として初めて宅配便事業に参入した。ベトナム特有の交通事情も考慮した安全運転、丁寧な荷扱い、時間厳守などを織り込んだ教育プログラムを策定し、日本並みの輸送品質を確保しながら、将来的にはベトナム全土を網羅する宅配便ネットワークの構築を目指してきた。

 この間、ベトナムは07年にWTO(世界貿易機構)へ加盟し、外資規制緩和を進めてきた。こうした変化を踏まえ、SGHGは100%子会社「SG佐川ベトナム」の設立を同国計画投資省に申請し、3月に認可された。

 ベトナムでは、外資規制の緩和がなお進行中だ。例えば、倉庫サービスを行う場合は、従来は外資出資51%以下の条件で合弁会社設立が可能だったが、14年1月からは制限がなくなり、外資100%出資が可能となった。

 今後、規制緩和によってSG佐川ベトナムで対応可能な事業を佐川急便ベトナムから移管していく。ベトナムにおける2つの事業会社の連携により、法人需要から個人需要まで幅広い顧客層を対象としたサービスを展開していく方針だ。

 SGHGは、これまで傘下の14カ国、23法人を通じ、中国やASEAN地域を中心に国際・海外事業を展開してきた。14年6月にはスリランカの物流企業エクスポランカ・ホールディングスを買収している。すでに、24カ国、105法人を傘下に置いたSGHGは、グローバルネットワークの構築をさらに加速させようとしている。(編集担当:久保田雄城)