2013年8月期第1四半期決算において、売上高が前年同期比16.7%増、営業利益同16.9%増、純利益同23.5%増と好調さを維持し続けているファーストリテイリング<9983>。中でも現在は海外事業に注力、海外ユニクロ事業の売上高が前年同期比51.1%、営業利益も同53.2%とその結果が顕著に数字となって現れている。そのファーストリテイリングが、三菱商事<8058>と合弁会社を設立し、インドネシアに1号店を出店すると発表した。
2002年からアジアにおけるユニクロの出店を開始し、中国、香港、韓国、台湾、シンガポール、マレーシア、タイ、フィリピンへと店舗網を拡大してきたファーストリテイリング。2013 年1月末のアジアにおける店舗数は338 店、そのうち東南アジアではシンガポール、マレーシア、タイ、フィリピンの4ヶ国計23店舗を展開し好調な業績をあげている。一方の三菱商事は、1954年よりインドネシアでの事業を開始し、現在はエネルギー、自動車、化学品関連等43社の事業投資先を持っている。この両社は、2011年にタイにおいても合弁会社を設立。タイにおけるユニクロ事業は2013年1月末現在で6店舗にまで拡大しており、計画通り好調な業績をあげている。
今回インドネシアで設立する合弁会社は、資本金10億円、出資比率はファーストリテイリングが75%、三菱商事は25%となっており、2013年夏、ユニクロ インドネシア1号店の出店を行う。ユニクロ インドネシア1号店を出店するのは、首都ジャカルタの中でもショッピングモールが多く立ち並ぶクニンガンエリアに新設される「ロッテ ショッピング アベニュー」内。ユニクロの東南アジア店舗の中でも最大級となる約810坪の売場に、メンズ、ウイメンズ、キッズ、ベビーを取り揃え、圧倒的な品揃えと、上質な日本式サービスを提供するという。
連結業績も好調で、積極的に海外進出をしているファーストリテイリング。一方で、2013年8月期連結決算における国内売上高は前年同期比7.7%増、営業利益同6.2%増と他の事業に比べて成長率は低い。さらに1月度の既存店売上高は前年比94.5%、直営店計の売上高は前年比96.6%、ダイレクト販売を含む売上高は前年比97.2%と前年度を下回っている。国内市場が成熟・飽和している証左であろう。しかし、海外を重視するあまり足元である国内市場を軽視した結果とも言える。好調な市場にばかり目を向け、目先の利益に目が眩んではいないか。いずれであったのか、数年後にはその結果があらわれるであろう。(編集担当:井畑学)