ビッグデータ利活用が企業の事業拡大のカギになるか

2013年02月14日 11:02

 矢野経済研究所が発表した「2012ビッグデータ市場 将来性と参入企業の戦略」によると、国内のビッグデータ関連サービス市場において、「マーケティング領域におけるビッグデータ利活用促進」の分野が、市場の拡大を牽引していくと予測されている。

 そのような中、日立製作所<6501>は、マーケティング領域におけるビッグデータ利活用事業の提案力強化を目的として、博報堂<2433>と協業することで合意。本合意に基づき、2013年4月1日から両社協働プロジェクトである、マーケット・インテリジェンス・ラボ(仮称)を設立。両社の知見を融合させた顧客向けサービスの提供やソリューションの開発などを進めていくという。

 日立はこれまで、IT領域を基軸としたビッグデータ利活用事業を積極的に推進。自社が持つ豊富なデータ解析ノウハウやITプラットフォーム技術を駆使して、ビッグデータの利活用を通じた顧客企業の新たなビジネス価値創出に取り組んできた。また博報堂は、広告会社という立場から、これまでも顧客企業のビッグデータを活用したマーケティング戦略の立案・実施を支援するとともに、さまざまな関連ソリューションの開発を実施しているという。

 今回、両社が2013年4月から開始する本プロジェクトは、日立のビッグデータ利活用専任組織スマート・ビジネス・イノベーション・ラボ(2012年4月設立)内に設立し、博報堂のビッグデータマーケティング推進チームのメンバーが参画。博報堂が現在提供しているコンサルティングサービスやマーケティングに関するノウハウを、日立のビッグデータに関するソリューションと合わせ、日立の顧客企業に向けたサービス提案を共同で行うほか、独自のソリューション開発にも取り組んでいく予定だという。

 これにより、顧客企業において、ITシステムの情報をマーケティングや経営に活用するニーズが高まっている情報システム部門と、ITシステムの情報を活用することが求められているマーケティングや宣伝部門、事業部門などに提案することで、顧客企業がビッグデータ利活用に全社で取り組める環境づくりをサポートしていく。

 近年、IT業界における新しい注目テーマが従来のデータベース管理システムなどでは記録や保管、解析が難しいような「ビッグデータ」であるという。注目される要因としては、クラウドコンピューティングやソーシャルメディアなどで活用される新しい技術により、大量のデータの収集・処理・分析が、さまざまな分野で活用できるようになってきたことが大きい。将来的には、この巨大なデータ群が社会インフラの視点でマーケットを捉え、ビジネスでのデータ利活用だけでなく、暮らしを豊かにする仕組みづくりにもつながっていくと考えられる、大いに注目していきたい。(編集担当:宮園奈美)