世界ではすでに始まっている! オープンイノベーションがもたらす未知の可能性

2017年07月09日 14:49

アイディアコンテスト

電子部品大手のロームは昨年2016年から、センサや無線通信モジュールを活用したアイデアコンテスト“ROHM OPEN HACK CHALLENGE”を開催している。

 昨今、ものづくりの業界では、オープンイノベーションが盛んになってきた。

 2016年7月には、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)がオープンイノベーション協議会とともに、日本のオープンイノベーションの取り組みの現状を広く共有することを目的に、関連データや国内外の成功事例を集約した「オープンイノベーション白書」(初版)をとりまとめるなど、国を挙げての取り組みも始まっている。

 オープンイノベーションの目的は、企業内部だけでなく、外部の開発力やアイデアを組み合わせることで、これまでにない革新的で新しい価値を創出することにある。自社単独では解決できないような課題に対して社外から解決策を見つけたり、外部の知見を取り入れることで、研究開発を迅速かつ効率化を図れるのがオープンイノベーション最大の魅力だ。ものづくりの現場では今、顧客の要望が多様化、高度化する一方、研究開発にかけられる時間や予算は縮小傾向にある。また、国内だけでなく海外企業とも競争が激化している。そんな中、オープンイノベーションに取り組む企業が増えているのは必然と言えよう。

 とはいえ、日本のオープンイノベーションは他の先進諸国に比べて遅れているといわざるを得ない。日本は体質的に閉鎖的な企業が多く、協業や共同開発を行う際にも自社のグループ会社や馴染みの取引先、大学などとの連携を優先させてしまう傾向がみられる。しかし、これでは構成要素が限られてしまい、昨今の市場に柔軟に対応していくことは難しくなってしまう。ましてやIoTの発展などで、めまぐるしく状況が変わりつつある状況下では、既存のネットワーク内での閉鎖的なリソースだけでは、世界市場でシェアを獲得、維持することは困難になってくるだろう。

 もちろん、日本企業でもすでにオープンイノベーションに積極的に取り組んでいる企業もある。

 例えば、自動車大手のトヨタは、3Dプリントサービス「Rinkak(リンカク)」を展開するベンチャー企業カブクと手を組み、同社が販売する小型モビリティ・i-ROADにおいて、3Dプリンタを使いボディパーツやインテリアの一部をカスタマイズできるサービスを開始している。また、カブクは本田技研工業とも3Dプリント技術を活用した車両を共同製作し、「CEATEC JAPAN 2016」に出展するなどしている。

 また、電子部品大手のロームは、Arduino を代表とするオープンプラットフォームの流通に伴って、誰もが気軽に電子工作やプロトタイプづくりに取り組める環境が広がっていることなどを背景に、昨年2016年から、センサや無線通信モジュールを活用したアイデアコンテスト“ROHM OPEN HACK CHALLENGE”を開催している。昨年は日本全国から100以上の多彩なアイデアが集まり、「CEATEC JAPAN 2016」でも話題となった。今年もすでに募集が始まっており、昨年以上の盛況が見込まれている。同コンテストでは、優秀な作品に対して賞金が支払われるだけでなく、プロトタイプ開発部品の支給や同社のエンジニアによる制作支援、さらにはロームが出展する国内外の各種展示会への出品機会も提供されるそうだ。

 ここから新しい事業展開にまで発展すれば、ロームは単純な利益以上のものを得ることができるのではないだろうか。

 日本ではまだまだ成功事例は少ないが、GEやIBM、Samsungなど、海外の名だたる企業がすでにオープンイノベーションを軸に事業展開し、成果をあげていることからも、その必要性が伺える。日本経済の飛躍の為には、鎖国のような日本の企業体制の変換が求められている時期にきているのではないだろうか。(編集担当:藤原伊織)