脱・休暇後進国。今、元気な企業はどんどん働き方を変え始めている

2017年07月23日 14:36

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プレミアムフライデー推進協議会の調査結果によると、早期退社に取り組む企業の数は徐々に増えており、大企業だけでなく、中小企業でも取り組みが広まっているという

 政府が進める一億総活躍社会の実現に向け、様々な現場で働き方改革が始まっている。今年2月からは、経済産業省や経団連の主導によって「プレミアムフライデー」も導入され、多くの企業が参加して、大きな話題を呼んだ。プレミアムフライデー推進協議会の調査結果によると、早期退社に取り組む企業の数は徐々に増えており、大企業だけでなく、中小企業でも取り組みが広まっているという。しかしながら、劇的な効果を上げているとは言い難く、当初期待されたような成果を上げるには、まだまだ時間がかかりそうだ。

 プレミアムフライデー自体には賛否両論はあるものの、同制度が話題になったことで、これまでの日本的な「働き方」を見直そうという意識の啓発には大いに役立っているのではないだろうか。戦後日本の復興を支え、昭和の高度成長を後押したのは、休み時間や休日を返上してまで懸命に働いた人々の功績によるものであることは間違いない。当時、もしもプレミアムフライデーのような制度が提唱されていたとしても、採択されなかっただろう。しかし、今は違う。プレミアムフライデーだけでなく、企業が率先して残業を減らしたり、休日を増やそうと動き出している。その目的は、休暇をしっかりとってプライベートの時間を充実させることで、仕事の質を向上させ、能率をあげることにある。

 例えば、セブン&アイ・ホールディングスは、セブン-イレブン・ジャパンやイトーヨーカ堂、そごう・西武など主要8社の約2万5千人を対象に、部署ごとに一斉に有給休暇をとる仕組みを導入している。また、住友林業は休暇がとりにくい営業部署でも一斉休暇をとれるように、2、4、6、12月に顧客への営業を一切行わない計4日の「定休日」を新設した。

 また、中堅でも積極的に休暇制度の見直しを図っている企業もある。木造住宅のハウスメーカーであるアキュラホームは、2016年の3月から、住宅業界では異例の「9日間連続休暇」制度を導入している。これは、年末年始や夏季休暇とは別に長期の休暇を取るもので、実現させるためには、早期から予定を立てることはもちろん、休暇中にも業務に支障が出ないよう、同じ部署内で普段から綿密な情報共有することが必須となる。その為、導入後は、社員個人のリフレッシュ効果だけでなく、以前よりも大きくチームの結束力が向上している効果がみられはじめているという。

 調剤薬局大手のアインファーマシーズなどを傘下に置くアインホールディングスも、入社初年度は5日間、次年度からは最大9日間、社員全員が年に1度必ず取得できる、長期の連続休暇制度を導入している。

 「休む」ということに罪悪感を感じてしまうのは、日本人の性ともいえるものだ。しかし、先進諸国の企業では長期休暇が当たり前。休暇をとることで能率が上がり、生産性が高まることで企業に還元される成果も実証されている。日本社会も休暇後進国といわれる状況から、そろそろ脱する時期が来ているのかもしれない。(編集担当:松田渡)