マイクロソフト、新しいAI研究所を設立しグーグルに対抗

2017年07月28日 08:12

画・マイクロソフト、新しいAI研究所を設立しク_ーク_ルに対抗

マイクロソフトは、より汎用的なAI技術の開発に重点を置く新しい研究所「Microsoft Research AI」(MSR AI)を設立した。同研究所では科学者100名以上からなるチームが、自然言語処理から機械学習、知覚システムまで様々な分野のAIを研究する。

 倉庫内での荷物のピッキングや工場での機器予防保全、チャットや音声を通しての問い合わせ対応など、AIは単一の領域において学習を繰り返し、高い精度での分析・タスク遂行を実現している。一方でAIはいまのところ、人間のような領域をまたいでの処理が苦手で、用途の限られたアルゴリズムを多目的なものへと拡大していくにはまだまだ時間がかかると見られている。こうしたなか、マイクロソフトは、より汎用的なAI技術の開発に重点を置く新しい研究所「Microsoft Research AI」(MSR AI)を設立した。同研究所では科学者100名以上からなるチームが、自然言語処理から機械学習、知覚システムまで様々な分野のAIを研究する。

 MSR AIでは、社内のAI専門家に加えて、認知心理学など関連分野の専門家を積極的に採用してチームを強化していく計画。MITの「脳・知性・機械センター」など専門機関とも提携し、社会の難問解決のために基本的でオープンな共同研究にコミットしていく考え。

 汎用AIの開発には多くの企業が取り組んでおり、グーグルも子会社ディープマインドなどで汎用AIの開発を進めている。ディープマインドの創始者デミス・ハザビスは、汎用AIの開発に現実世界の直感的な理解やより効率的な学習方法といった人間の特性が重要になることを主張し、神経科学の成果を取り入れた開発を目指している。

 この開発が実現すれば、好奇心や想像力など人間の持つ特性を備えたAIが出現することになり、AI開発の方向性やAIの取り扱いを定めた倫理規定の策定やガバナンスが重要となる。マイクロソフトは研究所の設立に加え、会社全体の監督機関としてAI倫理監視委員会を設置する。AIに倫理委員会に関してはグーグルとディープマインドにも独自のAI倫理委員会があるほか、マイクロソフト、グーグル、ディープマインド、フェイスブック、アマゾン、IBMで提携された倫理的AI開発のための会社間契約が存在する。最近ではテスラのCEOイーロン・マスクが汎用AIの開発中止を呼び掛けており、汎用AI実現が社会に与える影響を十分に考慮したうえでの開発が求められる。(編集担当:久保田雄城)