稲田朋美防衛大臣は28日、南スーダンPKO活動に参加した自衛隊の「日報」隠ぺい問題に関する防衛特別監察結果を踏まえ、関係者の処分を発表するとともに、自らは「防衛省・自衛隊を指揮・監督する防衛大臣としての責任を痛感している」とし、1ヶ月分の給与を返納するとした。そのうえで大臣を辞すとし「安倍晋三総理に辞表を提出し、了承された」と記者会見し発表した。
防衛特別監察の結果では防衛省・自衛隊が情報公開法に違反し、組織ぐるみで隠ぺいしていたことが浮き彫りになった。稲田大臣は防衛事務次官のほか3名を停職、陸上幕僚長を減給処分としたと発表。一方、陸自に残っていた日報の存在については「報告を受けたという認識は今もない」と改めて報告を受けたことも、隠ぺいを指示したこともないと強調した。
今回の問題を受け、再発防止策について、稲田大臣は「情報公開と文書管理という観点から抜本的な対策を講じる」とし「南スーダン派遣施設部隊の『日報』に加え、今後、海外に派遣される自衛隊の部隊が作成した『日報』の全てを、統合幕僚監部参事官において一元的に管理する。また事後の情報公開請求に対しても一元的に対応する」と述べた。
また、「防衛省行政文書管理規則を改正し、『日報』の保存期間は現行の1年間を10年間に改めるとし、その後、国立公文書館へ移管することとする」。また、日報以外の派遣部隊の報告も3年間保存する。
さらに、「情報公開査察官(仮称)を新設し、今後の文書不存在による不開示決定がなされた全ての案件について、必要な調査のための権限を持たせ、今般のような事案の発生防止のための抑止力とチェック機能の強化を図る」とした。
なお、今回の責任をとり、防衛省事務方トップの黒江哲郎防衛事務次官と陸自トップの岡部俊哉陸上幕僚長の退職が承認された。(編集担当:森高龍二)