保育士の正規職員と非正規職員 確執広がる

2017年08月02日 08:12

画・保育士の正規職員と非正規職員 確執広か_る

保育の現場で、雇用形態の違いが原因で生じる保育士同士の摩擦や確執について調査を行ったところ、正規職員と非正規職員どちらも、責任感・業務の振り分けや役割分担・賃金など格差による不満を感じ確執があると感じている。壁を取り除くのは難しく、仕方のない事と諦めるしかないと考えているのが現状だ。

 保育士や幼稚園教諭の人材紹介サービス「保育のお仕事」を展開するウェルクスは、保育現場で働く178名の保育士らを対象に、雇用形態の違いが原因で生じる保育士同士の摩擦や確執について調査を行った。調査は正規職員、非正規職員と対象を分けて実施され、正規雇用と非正規雇用間の壁が存在するのか、それどれに対する不満などが明らかとなった。

 「雇用形態間で確執や不満はあると思うか」という問いに、正規雇用職員の46%があると答え、ないと答えた14%を大きく上回っている。一方非正規雇用職員の58%があると答え、ないと答えたのは14%であり、非正規雇用職員の方が確執や不満を感じる人が12%も多い結果となった。

 「実際に雇用形態と異なる立場の職員に対し不満を抱えているか」との問いには、正規雇用職員ではあると答えた人が33%なのに対し、非正規雇用職員が57%と大幅に上回り、約6割の非正規雇用職員が不満を抱えながら仕事をしているということが分かった。

 実際に感じる不満の内容については、正規雇用職員の場合、「業務における責任感に対する不満」が76%、「業務の振り分け、役割分担に対する不満」が66%、「業務の引き継ぎや巻取りに対する不満」が31%となっている。一方非正規雇用職員の場合は、「業務の振り分け、役割分担に対する不満」が73%、「賃金に対する不満」が59%、「業務量に対する不満」が51%となっている。

 「雇用形態の違う職員に対しての不満に、どのように対処して普段から仕事をしているか」という問いには、「仕方がないことだと諦めている」がどちらも多く正規雇用が62%、非正規雇用が47%。「職場の同僚などに相談する」は正規雇用が34%、非正規雇用が35%だった。どちらもお互いに不満を持ってはいるが、解決は難しく諦めている人が多いという事だ。

 雇用形態の違う職員間の壁を取り除けるかという問いには、正規雇用では「取り除けると思う」が26%、「取り除けないと思う」が40%。非正規雇用では「取り除けると思う」が23%、「取り除けないと思う」が48%と、取り除けないと思う人の方が圧倒的に多い。「壁を取り除くため必要な対策や配慮は何か」という問いには、どちらも「雇用形態に合った業務量の振り分け」「雇用形態に見合った給与設定」「本人の心がけ次第」と答えている。

 「業務量の振り分け」についてはどちらも不満な点として挙がっていたので、双方が納得いく「業務量の振り分け」という事が実現可能なのか難しい所だ。保育士の給料の問題、職員は圧倒的に女性が多い、保育士不足など、体制面の整備も重要であるが、「本人の心がけ次第」とあるように、お互いの働き方に理解を深めていく事が、壁を無くすのには近道かもしれない。(編集担当:久保田雄城)