グーグルの親会社アルファベットは、2015年に一旦終了した「グーグルグラス」の継続プロジェクト「グラス エンタープライズエディション」を正式に発表した。グラス エンタープライズエディションは、製造、物流、フィールドサービス、ヘルスケアの業務分野を対象とした業務用ARヘッドセットとなる。
グーグルの親会社アルファベットは、2015年に一旦終了した「グーグルグラス」の継続プロジェクト「グラス エンタープライズエディション」を正式に発表した。グラス エンタープライズエディションは、製造、物流、フィールドサービス、ヘルスケアの業務分野を対象とした業務用ARヘッドセットとなる。
初代グーグルグラスについては、画期的なプロジェクトだったもののプライバシーの問題がクリアできなかったことや、ソフトウェアの完成度が実用に耐えうるものに至らなかったことなどから市販化されないままプロジェクト終了となった。用途を業務用に特化した今回のエディションであれば、法に触れるカメラ撮影を気にする必要はないし、ソフトウェアについても業界の用途に即したものが開発できる。プロジェクト終了後もエンタープライズエディションによるグラスの活用は想定されており、グーグルは、ボーイングやDHL、GE、フォルクスワーゲンと共にプロトタイプの開発を進めてきたとのこと。すでにグラスを活用している企業も50社以上あり、16年にはテスラの製造工場でグラスが活用されていることが報じられている。
グラスを活用することで、例えば製造業では、労働者が手を止めずにマニュアルを見られる。また部品番号のスキャンや次の手順の確認ができ、これらは音声コマンドにも対応している。労働者は両手が自由な状態で作業を進めながらすべての確認ができるため、特に複雑な工程を含む業務では生産性が大幅に上がることが期待される。医師による利用手段としては、患者に対応しながら医療情報や履歴、メモなどを参照することができ、離れた場所にいる専門家からの正確な診断も可能。
グラス エンタープライズエディション正式発表に伴い、従来使われてきたものにいくつかの変更が加えられている。その1つは、グラスモジュールとフレームが分離できる仕様になったことだ。これにより、モジュールを規格に合った任意のフレームに装着できるようになった。また、グラスをキーボードやバーコードスキャナなど、他のデバイスに接続して使うことも可能になった。そのほかにも、バッテリー寿命、カメラ、プロセッサー、Wi-Fiなどの機能向上が図られた。業務用に特化することで、グーグルグラス本来の実力が発揮できるようになったと考えられ、業務用ARヘッドセットの本命としての普及が期待される。(編集担当:久保田雄城)