日本はトランプ大統領と運命を共にするのか

2017年08月19日 11:36

画.米IT大手が最初のアクション トランプ次期大統領に対し政策要望書提出へ

安倍政権下で進めてきた「日米同盟深化」は北朝鮮に対し「実力行使を含む『すべての選択肢がテーブルの上にある』とする米トランプ大統領」と運命を共にする危険に晒されている

 安倍政権下で進めてきた「日米同盟深化」は北朝鮮に対し「実力行使を含む『すべての選択肢がテーブルの上にある』とする米トランプ大統領」と運命を共にする危険に晒されている。しかも安倍政権はトランプ大統領の、こうした姿勢を「高く評価する」と発信している。

 「対話のための対話は意味がない」と北朝鮮への圧力強化を盛んに呼びかける日本政府。その姿勢には「憲法9条」の思想を踏まえた思考がないのか危険を感じる。アメリカのアジア太平洋政策のままに、日本の運命が組み込まれることになりかねない。

 日本の平和外交政策は右傾化の中で変質したのか。日米安全保障条約、日米同盟、これを踏まえても、憲法9条の日本独自の立ち位置からすれば、ドイツのメルケル首相が呼びかけるように「激しい口調は問題の解決につながらない」という冷静さこそ、日本政府は米朝トップに向け発信することに努めるべきではないのか。

 民主党の安全保障調査会は18日「緊張が高まる現下の北朝鮮情勢に対する見解」として「トランプ大統領は武力行使につながりかねない過激な発言を控えるべきであり、安倍総理も日本国政府として自制を求めるべきである」と提言した。

 「武力紛争となれば、各国市民を巻き込む極めて甚大な犠牲を生む。緊張が高まる現下の北朝鮮情勢を打開するには、近隣諸国との不断の信頼醸成を含めて冷静に日本の外交力を発揮することが最も重要である」と冷静な対応こそ必要と求めた。

 これこそ、世界に誇る平和憲法を有する日本政府がとるべきことであり、二度と戦争の惨禍を繰り返してはならないと誓った日本人のとるべき姿勢だ。「戦争に良い戦争も悪い戦争もない。戦争は戦争」(小沢一郎自由党代表)。起こしても、巻き込まれても、ましてや加担することもならない。

 「日米同盟」を安倍総理がいう「血の同盟」などというものにしてはならない。日米安保条約の「片務性」は日米両国の合理的利害のうえに成り立っている。「双務性」に努める必要はない。

 安倍政権は今回の北朝鮮問題を契機に、防衛能力の強化が急務とし、軍拡路線に走りかねない。小野寺五典防衛大臣はグアムに向かう北朝鮮弾道ミサイルを、集団的自衛権を行使し、新3要件を満たせば撃ち落とすとし、佐藤正久外務副大臣は「北朝鮮から(発射されたミサイルが)日本の上空を飛び越え、グアムの方へいく。そういう時、自衛隊は本当に撃ち落とさなくていいのか。日米同盟の真価が問われている」と日米信頼関係のために撃ち落とすべきとの考えなのかと受け取れる発言をしている。

 撃ち落とせるのは新3要件を満たすときのみであり、該当しなければ憲法違反だ。国民ひとりひとりが憲法を踏まえた冷静な外交力を発揮するよう、政府を監視する姿勢が求められている。このまま軍拡路線が加速すれば、早晩、敵基地攻撃能力の装備も日米役割分担の中で正当化してくる可能性も否定できない。(編集担当:森高龍二)