9月1日は防災の日。そして8月30日から9月5日までは防災週間ということもあって、全国各地で様々な防災啓発のイベントや活動が行われた。
防災の日は、1923年に発生した関東大震災にちなんで設定されたものだが、ちょうどこの時期には毎年、台風も多く発生することなどから、震災に限らず、台風や豪雨、津波など、その他さまざまな災害への備えを呼びかけ、防災意識を高める日とされている。今年は、夏の異常気象や台風被害、ゲリラ豪雨などが多発した影響もあってか、各地の防災イベントや催しは大勢の人の関心を集めたようだ。
大阪市では9月5日、近い将来に発生が心配されている「南海トラフ巨大地震」に備えて、大阪府民が様々な情報源から地震・津波発生情報を認識し、地震・津波発生時に行動できるようにすることを目的に「大阪880万人訓練」が行われた。
午前11時になると、館内放送や屋外スピーカーなどで地震発生が報じられると、3分後には、訓練用のエリアメールや緊急速報メールで大津波警報が発表された。
街をあげての大規模な防災訓練ともいえるもので、実際に災害が発生した時に慌てないようにする効果が期待される。大阪の街では当日、警報を聞いて慌てる人、苦笑いをする人、無関心な人と様々な反応が見られたが、こういう訓練と経験を繰り返すことで、もしもの時の反応や対応はかなり違ってくるだろう。
また、関東では9月3日、都立戸山公園及び新宿スポーツセンターで「しんじゅく防災フェスタ2017」が開催された。東京も首都直下地震などが懸念されているが、こちらは大阪の880万人訓練とは違って「大人も、子どもも、若者も、外国人も、障がい者も、みんなが楽しく学べる防災・減災イベント」というコンセプトのもと、楽しく学べるイベント色の強いものとなった。例えば、おもちゃの物々交換(かえっこ)と、楽しくアレンジした防災プログラムを組み合わせた防災体験イベント「イザ! カエルキャラバン!」や、パフォーマンスステージで戸塚第一小学校の子どもたちによる楽器演奏やご当地キャラクターによるクイズ、防災人形劇などが披露され、秋晴れの中、笑顔が溢れる催しとなった。
生活に直接関わるところでは、住宅展示場などでは「雨水タンク」に関する問い合わせが増えているようだ。雨水タンクといえば、雨といなどから集めた雨水をガーデニングや家庭菜園の水やりにリサイクルするエコ設備のイメージが強いが、この設備を早期から導入し、顧客に提案してきた住宅メーカーのアキュラホームによると、集中豪雨時の雨水流出の抑制にもなり、火災の初期消火や災害発生時には生活用水の一部としても役立つことなどから、近年、顧客の関心が高まっているという。また、全国で107の自治体が雨水タンク設置に対して補助金を出している。
雨水タンクの製品自体も洗練されてきており、スタイリッシュでコンパクトがウリの「雨水貯留タンクまる140」(丸一株式会社)や、ガーデニングなどにも最適なデザインの雨水貯留槽「レインポット」(積水化学工業)など、住宅のイメージに合わせて選択できるのも、需要増に一役買っていそうだ。
災害はいつ、どこで起こるかわからない。とくに日本は火山大国。地震や火山噴火は決して対岸の火事ではない。洪水や土砂災害も毎年のように起こっている。平時から非常時に備えておくことが、自分や家族の命を守ることにつながることを防災週間が過ぎた後も忘れないようにしたいものだ。(編集担当:石井絢子)