BCPを「策定している」企業は14.3%にとどまる

2017年06月16日 07:12

 近年、自然災害や情報セキュリティ事故など、さまざまなリスクによる企業活動への影響を想定し、企業活動を休止することなく、あるいは早期復旧させるなどして事業を継続させるため、予め防災・減災対策、災害発生時や発生後の対応措置などに対する重要性が高まっている。また、BCP がより効果的なものになるための地域との連携に関する議論が活発に行われている。

 そこで、帝国データバンクは、事業継続計画(BCP)に対する企業の見解について調査を実施した。調査は、TDB景気動向調査2017年5月調査とともに行った。

 事業継続計画(BCP)の策定状況は、「策定している」企業が14.3%にとどまる。「現在、策定中」「策定を検討している」を合わせても半数に満たず。業界別では、策定しているのは『金融』が43.8%で最も高く、『不動産』は9.5%で最も低い。

 「策定している」「現在、策定中」「策定を検討している」企業のうち、事業の継続が困難になると想定しているリスクでは、「自然災害(地震、風水害、噴火など)」(71.8%)、「情報セキュリティ上のリスク」(39.1%)、「設備の故障」(38.8%)が上位。事業中断リスクに備えて実施・検討していることでは、「従業員の安否確認手段の整備」(70.6%)、「情報システムのバックアップ」(63.9%)、「事業所の安全性確保」(45.2%)が上位である。

 BCP策定の効果について、策定済みの企業では、「業務の定型化・マニュアル化が進んだ」が41.4%でトップ、以下、「事業の優先順位が明確になった」(36.9%)、「取引先からの信頼が高まった」(25.7%)が続く。特に、小規模企業では、「事業の優先順位が明確になった」(44.3%)が最高である。

 BCP を策定していない理由は、「策定に必要なスキル・ノウハウがない」が 45.1%でトップ。以下、「策定する人材を確保できない」(30.3%)、「書類作りでおわってしまい、実践的に使える計画にすることが難しい」(25.7%)が続く5.地域との連携状況、「平時からの連絡体制の整備」が 42.7%で最も高い。以下、「災害時の物資の提供」(17.7%)、「災害応援協定の締結」(12.0%)が続く。(編集担当:慶尾六郎)