自民党の憲法改正推進本部は12日、憲法9条(戦争の放棄規定)の扱いについて協議。保岡興治本部長は「具体的な内容や考えをできれば条文に近い形でお示しして議論を進めたい」とし、協議の結果、保岡本部長が今後、条文のたたき台を示すとともに、自民党がすでにまとめている党草案(2条を削除し、国防軍を明記する)も含め、議論していくことになった。
保岡本部長が示すのは、安倍晋三総裁が提起した憲法9条1項、2項をそのまま残し、3項で「自衛隊」を明記すること。あわせて、憲法解釈はこれまで通りとするもの。保岡本部長は「国民投票に耐えられる具体案」を示していくことが必要との考えを示した。
加憲による「自衛隊」の明記は、与党・公明党の賛成を得られやすいことや国民の賛同も得やすいとの判断。安倍総裁は改憲に「スケジュールありきではない」と2020年に新憲法施行を目指すとした強気の発言から、国民を意識した姿勢に変わったが、高村正彦副総裁は「来年の通常国会で発議できないと国民投票で2020年に間に合わない」とスケジュールありきで、従前の方針を変えていない。
一方、2項を削除し、国防軍創設を明記するとした党草案を推進した石破茂元防衛大臣は「第3項加憲という発想は、日本政策研究センターの伊藤哲夫代表が最近の講演の中で『あくまでも目指すのは欠落部の補充であり、3項加憲という奥の手がある』と述べられていることと軌を一にすると思われる。『第1項はもちろん、第2項も残します。解釈も一切変えません。自衛隊の存在だけを憲法に書き加えるのだから異論はないでしょう?』ということなのでしょうし、これなら国民も賛成するであろうとの意図かと考えますが」と加憲の狙いに理解を示す。
そのうえで「国際環境が激変する今こそ、第9条自体が内包する矛盾を解決すべき時であるのに、わざわざこれを憲法上固定化してしまうという考えのように思われる」と記し「私には現在のところ理解できません」(今年6月9日のブログ)と書き加えるだけなら、矛盾を内包し続けると異論を唱えている。(編集担当:森高龍二)