防衛省の2018年度予算概算要求、総額5兆2551億円。今年度当初予算に比べ1300億円の上積み、伸び率2.5%増。総額は過去最大規模になった。
2015年度から4年連続『過去最大』を更新する軍拡路線を走る。安倍政権の下で際限のない軍拡へ悪循環につながる危険が出てきている。
北朝鮮の核開発問題や弾道ミサイル発射実験が繰り返される中で、憲法9条(戦争の放棄)の下、防衛費拡大を抑制してきた日本国民の防衛費用への意識が希薄になっていることを示しており、安倍政権にとっては幸いしている。しかし、現実には憲法9条の立ち位置を忘れることが最も危険であり、軍拡による北朝鮮への政府対応については恐れなければならない。
戦力不保持の下でも、武力による侵略に対し、自衛のための「必要最低限」の実力を保持することは認められているが「専守防衛のための防衛費はGDP1%以内」としてきた制約は、いつのころからかどこかへ吹っ飛び「国民の安全、安心のため」との旗の下、特に北朝鮮に対しては、米国と共に世界各国に対し、圧力強化をリードしている現況だ。石油禁輸による油断は特に深刻だ。このスタンスは立ち止まって考えることが必要だ。
防衛費の枠組みに抑制が効いていたころ、軍備を背景には交渉が出来ないことから、外交交渉での平和への努力がたゆまず続けられてきた。筆者はそう感じている。
ところが今は、日本がかつて侵略戦争を拡大させるに至った「石油禁輸」措置までを、北朝鮮に対する制裁措置としてとるべきと求める与野党の議員がいる。
テーブルにつかせるための脅しに使うには、切り札的に有効なのかもしれないが、同時に、それは日本が1931年に枯渇する石油資源を求め軍部が一層硬化し、暴発したように、リスクは非常に高まることを忘れてはならない。日本のリーダーが賢明な判断を行うことが求められる。
あわせて、北朝鮮の脅威を必要以上に国民に押し付け、軍拡を正当化する理由にしてはならない。このまま走りつづければ、与党、保守勢力は「敵基地攻撃能力」を装備しなければ、日本の安全・安心は守れないと大きく言い始めるだろう。安全保障と防衛装備、防衛費のありようは「冷静な目」で対応することを求めたい。(編集担当:森高龍二)